カチコミ、恋愛相談、絵を描く面白さを教えてくれた女性

基本的には、5人家族だったんですが、家にはどういうわけか、頻繁に親父の妹の綾子叔母ちゃんが寝泊まりしていました。はっきりとした理由はわからないけど、もしかすると、旦那さんと喧嘩をしたり、なにかお金に困ったりすると、うちの家に来ていたのかもしれません。

この叔母ちゃんは、もともと、子どもがいない家庭だったから、ぼくのことを自分の子どものように可愛がってくれました。とにかく世話焼きでおしゃべりで、小津安二郎の映画によく出てくる杉村春子みたいな感じの人。これ、あんまりわかんないかな。まぁ、温かい感じがする人でした。

ぼくが野球のボールを目に当てられてあざをつくって帰って来たり、自転車を小学校の上級生に借り逃げされた時なんかは、真っ先にぼくを連れてカチコミ、これはちょっと特殊な用語ですね(笑)、今流に言えば、きついクレームをつけに行ってくれた人でもあります。

カチコミする女性のイメージ 写真/Shutterstock.
カチコミする女性のイメージ 写真/Shutterstock.

親族で、唯一恋の悩みを真剣に相談できる、頼り甲斐のある女性でした。

絵を描く面白さを教えてくれたのも叔母さんで、絵画教室に通ってちゃんと学んだこともあるらしく、絵が滅法うまかった。それで、当時好きだった鉄人28号とかアトムとか、そういう漫画をたくさん描いてもらっていました。そのうまい絵を部屋中に飾って眺めたりするのも楽しかった思い出です。

残念ながら、綾子叔母ちゃんは、ぼくが30歳の時、若くして病気で早逝しましたが……。