客単価の引き上げは一巡か

カーライルの企業価値向上に向けての取り組みは3つだ。1つ目は出店戦略の実行、2つ目はメニューの多様化・チャネル拡大による店舗当たり売上の成長加速、3つ目がデジタルの強化だ。

本丸は出店の強化だろう。1店舗当たりの平均月商は上がっており、ケンタッキーの客単価は2023年度に前年度比1割上昇した。ただし、客数は前年度を2.5%下回っている。2024年4月は客単価が前年同月比9.5%上昇し、客数は2割減少した。

値上げが客数減に直結しているのだ。つまり、ケンタッキーがこれ以上客単価を上げるのは危険であり、高止まり水準であると言える。裏を返すと、客単価が高止まりになった状態で現在の平均月商ペースを維持し、出店を加速すれば業績拡大に弾みがつくのだ。

ただし、ケンタッキーはフランチャイズ加盟店が主体。全店舗の7割以上がフランチャイズだ。出店コントロールがしづらいというデメリットがある。

ケンタッキーフライドチキン鎌倉店 写真/shutterstock
ケンタッキーフライドチキン鎌倉店 写真/shutterstock

投資ファンドは3年から5年でエグジットの時期を迎える。エグジットとは、持株をIPOや売却によって一部処分することだ。企業価値を高められれば、相応のリターンが得られる。短期間でのエグジットを目論むカーライルは、コントロールがしやすい直営主体の出店戦略も視野に入れているのではないだろうか。