「盗んでやろう」ではなく、「借りている」だけ

水原被告の事件を知ったときは、私の数字を抜かれなくてよかったな、と正直ホッとしました(笑)。彼が大谷選手の口座から盗んだのは、最初は6億円――その後、24億4400万円と明らかになりましたが――ですから、106億8000万円を大王製紙の子会社7社から無担保で借りて熔かした私の数字にはまだまだです。私は今、106億8000万円という数字のインパクトを活かして活動していますので。

108億6000万円のイメージが先行する井川氏
108億6000万円のイメージが先行する井川氏
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活動の詳細は後ほど語るとして、まずギャンブルの話からしますと、ギャンブルに夢中になると、賭ける金額はどんどんエスカレートしていきます。登山の好きな人が危険なのに「次はもっと高い山に登ろう」と挑むように、釣り好きの人が魚を食べるわけでもないのに「次はもっと大きな魚を釣ろう」と狙うように、ギャンブル好きはたとえ勝っていても「もっと賭けて、もっと勝ってやろう」と思い、負けると悔しくて「取り返してやろう」と、どんどんエスカレートしていくのです。

そして、負けが続いて借金を膨らませてしまっても、今は“一時的に”負けているだけ、通過点に過ぎない、胴元にお金を預けているだけだ、などと考える。これからひっくり返して取り戻せる、と考えています。だから、水原被告も掛け金、借金がどんどんエスカレートしていった結果、大谷選手の金を盗んでやろうというより、「これから勝って返すのだから、一時的に借りているだけ」と考えていたのかもしれません。

実際、私も1996~1997年頃に、豪州ゴールドコーストで初めてカジノで遊んだときは、3日で100万円が2000万円に化けましたから。やり続けていれば取り返せる可能性もあるのがギャンブルです。私自身はこのビギナーズラックによる興奮と衝撃が、カジノにハマったきっかけのひとつになったと思います。