「コワモテでなく黒髪で礼儀正しいキャッチ」
徐々に浮かび上がる猟奇的事件の全貌。捜査本部の発表では佐々木容疑者は「住所、職業不詳」だが、集英社オンラインの取材で福岡県出身、フリーの「客引き」を生業としていたことが判明した。知人の飲食店関係者によると、佐々木容疑者は今年2月ごろから上野でフリーの客引きをしており、付近にはサンエイ系列の飲食店も複数あったという。
「(佐々木)光はそれ以前は中洲(福岡市博多区の繁華街)で仕事をしていて、おそらくキャッチをやっていたと思います。今年の2月ごろに人づてで紹介されて、4月の半ばくらいまでこっちで客引きをしていて、ウチの店にも客を入れてくれていました。髪の毛は黒髪でスーツ姿、ワイシャツは黒でしたがブランド品などもなくお金はあまりもっていない印象でした。
『コワモテ』という報道をみましたが、礼儀正しくてふだんから敬語、真面目な九州男児のイメージです。低姿勢で話すからお客さんからも『あの子いい子だねー』って好かれていました。パリピとかクラブ好きといった印象もありません。彼にお酒をおごってくれる人もいて、すぐ真っ赤になっていたので酒はあまり強くなかったと思います」(佐々木容疑者と交流があった店舗関係者)
佐々木容疑者は周囲からは「ササキさん」と苗字で呼ばれていたという。関係者が続ける。
「彼は女の子にも優しくて、寒いときは外で立っているとジュースをおごってくれることもありました。出勤時間はだいたい午後6時半ごろから午前2時くらいまでで、始発で帰っていた印象です。上京後間もないのでまだ人脈はなかったと思いますが、4月1日ごろ『後輩が車で迎えにくる』と話していたので、友達もそこそこいたのかもしれません。
(事件前日の)4月15日の夜にもキャッチに出ていて、慌てた様子で店前を走っていたのを別の従業員がみています。それからすぐに『体調が悪い』『風邪をひいた』という理由で上野に顔を出さなくなりました。それでまさかの逮捕…。髪の色も違うし、テレビを見て驚きました」
佐々木容疑者も、取り調べに対し宝島夫妻について「面識がない」と話しているという。
事件発生から間もなく2週間を迎える。だが、別の関係者によると宝島夫妻の葬儀の日程もまだ決まっていないという。「アニキ」の逮捕はまだ、事件解明の入り口にしか過ぎないようだ。
客引きの「アニキ」にまだ生きている宝島夫妻の「遺体の処理」を依頼したのは黒幕なのか。♯11で報じた、捜査関係者が関心をよせる「X」とも点と線がつながってきた。事件は確実に核心に迫っている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班