山下財宝に踊らされる人々

丸山 日本では「実はM資金は実在していて、それを運用しているんだけど」という謳い文句で詐欺をするM資金詐欺がありました。それと同じようなもので、フィリピンで「山下財宝詐欺」というのがあります。

ナオキマン 山下ということは、日本人と関係する財宝ということですか?

丸山 そうです。第二次世界大戦中、日本陸軍の山下奉文将軍が東南アジアで接収した金塊を日本に輸送しようとしたものの、連合国軍の攻撃が激しかったために断念して、フィリピン国内に隠した、という都市伝説です。

で、これがM資金と同じように詐欺に使われているんです。よくあるのが「あと1メートル掘れば山下財宝が出てくるってところまできてるんだけど、資金が尽きてしまったから援助してくれないか」というものです。
 

ナオキマン 冷静に考えると、なんであと1メートルってわかるんだよ、ってなりますよね(笑)。

丸山 山下財宝は海の底にある、という説もあります。確かに、日本軍があとでとりにくるつもりだったら、見つかりにくい船に隠したとしても、おかしくはないですよね。

実際、日本のあるグループが、フィリピンの近海で沈没船があるというのをソナーで探し当てたことがあります。

そこに山下財宝があるはずだって言ってダイバーも用意して探索に行ったところ、フィリピン政府からストップをかけられたんです。この海域には立ち寄るな、と。
 

ナオキマン 雲行きが怪しいですね。でも本当にそこに財宝があって政府が把握してるなら先に拾ってるはずですよね。

丸山 そうなんですよ。で、この真相が、僕がまったく別の取材をフィリピンでしているときにわかったんです。現地の人とお酒を飲んでいて「なんか港のほうは警備が厳しいんですよね」という話になったんです。

そしたらその現地の人が「しょうがないよ港は」って言うわけです。何かあるんですかと尋ねたら「フィリピンのゴミの量を考えたことある? スモーキーマウンテンでおさまるわけがないじゃん」って言うわけですね。

つまり政府が港にゴミを不法投棄していると言うんです。考えてみたらあんな狭い国ですから、ゴミを埋め立てる場所がないっていうのはわかります。

セブ島のゴミ山。フィリピンの各地に存在する
セブ島のゴミ山。フィリピンの各地に存在する
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ナオキマン 山下財宝とはまったく関係ないところで、政府の闇が発覚したと(笑)。じゃあ山下財宝の実在を示す、信憑性のある話は特にないんですか?

丸山 基本的には証拠も信憑性のあるストーリーもない都市伝説ですね。でも今、フィリピンに山下財宝を掘り当てたんじゃないかって言われてる大富豪が3人いるんですよ。突然大金持ちになって財閥をつくった人はいるんです。

ナオキマン 面白いですね。ロマンがあるな、それは。