いいアイデアを出した社員には社長から“ホメホメメール”が…
その章浩氏は2013年6月、42歳の若さで社長に就任した。1994年慶応大卒業後、いったんライバル会社の花王に入社して修行、1998年に家業の暖簾をくぐると、常務や専務を経て「六代目」を襲名した筋金入りのボンボンだ。社長就任後間もない2013年8月10日の朝刊に読売新聞が掲載した[2013新トップに聞く]ではこう掲載されていた
〈「あったらいい」を商品に
創業家出身でなければ、この若さで社長になることはなかった。気力と体力は十分にあるので、現場に足を運び耳を傾ける「現場主義」を貫く。普段はマーケティング部門のフロアで社員と机を並べており、社長室はほとんど使っていない。
世の中にない新製品開発が命の会社であり、「あったらいいなをカタチにする」姿勢はぶれない。犬が嫌がらない芳香消臭剤「消臭元いぬのきもち」は、飼い主に「ワンちゃんのことを考えて選んでいる」という心理的満足も与えられる。世の中はモノ余りで、ドラッグストアなどの商品入れ替えも早いが、販促費を集中投下して大きく育てたい〉
ブランドスローガンのとおり、これまでもいくつもの「あったらいいな」をカタチにしてきた章浩氏は社員からの“信頼”もあったようだ。経済部記者が話す。
「一度だけインタビューをしたことがあるのですが、落ち着いた雰囲気の社長でした。余計なことは話さず、年上の重鎮社員からも“ぼっちゃま”として大切にされてきた。
社内の風通しもよく、全社員から商品のアイデアを募ると年2万件以上の提案があり、いいアイデアを出した社員に社長や会長から“ホメホメメール”といわれる激励メールが届くようです。その甲斐あってか、2014年には『ブルーレット』が、2017年には『消臭元』が年間売上高でギネス世界記録に認定されています」
そんな「風通しのいい」社風から生まれた「紅麹」を摂取して健康被害が相次ぐとは、消費者も社員も夢にも思わなかったに違いない。原因究明と対策はこれからだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班