恋心が可視化される漫画を描いてみたかった
――恋する女性が光って視える大学生を主人公にした、「恋」の定義をめぐる原作漫画はとても新鮮でした。テーマやアイデアの出発点など、物語が誕生した経緯は?
連載立ち上げ時の担当編集さんから、“男性にも読みやすい恋愛漫画”で、“王道の三角関係物”はどうだろう、という提案をいただいて考えてみました。
『恋は光』の前に、恋をするとツノが生えてくるという短編作品を描いていたのですが、恋心が可視化されるという設定の漫画をもう少し長く、連載という形で描いてみたいと思ったのがきっかけだったと思います。
舞台が大学なのは、単純に私自身、大学生活がとても楽しかったからです。
――物語を紡ぐ上で心がけたこと、ご苦労された点はどんな部分だったのでしょうか?
私は、人と人の会話が好きなので、そこを楽しんでいただけたらと思って描いていました。また、読者さんの想定が男性だったので、女の子を可愛く……という点を心がけていました。
――映画化のお話を聞いたときの気持ちは? そもそも映像化は想定していましたか?
まったく想定していなかったので驚きました。心から、とてもうれしかったです。
――4年の歳月をかけて完結した原作を、約2時間にまとめた映画は、秋★枝先生から見てどのように映りましたか?
大変おもしろくまとめていただけたと思います。この漫画の大きな縦軸はふたつ。ひとつは、登場する3人の女性の誰が主人公の西条とくっつくのか。そしてもうひとつは、恋する女性が放つ光とは一体何なのかということです。しっかり描いていただけた上に、私が漫画を執筆するときに大切にしていた“会話”もたくさんちりばめてくださっていました。
――原作でも結末をどうするか悩まれたそうですが、小林啓一監督(脚本も担当)から映画版オリジナルの着地点を提案されたときの感想は?
最初に脚本を読んだとき、すでにキャラクター造形や彼らに対する知識量等々、自分が作ったものを何段階か高めていただけていてすごくうれしかったことを記憶しています。その時点で、「もう小林監督にすべてお任せしよう」と決めました。
その後、何度か改訂されたものを読んだのですが、その度に、またさらに良いものになっていて。その流れの中で、結末に関して大きな変更がありました。
なぜその結末になるのか、過程を丁寧に描いてくださっていて。真摯に作ってもらえたことがうれしかったですし、監督の仕事量を考えると頭が下がる思いでした。
映画ならではの着地点について、見てくださる方の感想が楽しみです。