原作者よりもキャラクターの理解度は高いと思う
――生みの親として「そう描くか!」と驚いたシーン、刺激を受けた描き方などは?
まさに「そう描くか!」と驚いたのは、西条以外に光が視えるキャラクターが出てくるのですが、その存在がわかる場面です。
セットで特に好きなのは西条の部屋。懐かしくて雑多で、でもどこかレトロおしゃれ感があって、好きになってくださる方も多いのではないかなと思います。
女の子たちの衣装が非常に可愛らしく、そこもぜひ注目していただけたらなと思いました。
西条が視える光の効果も、“きれいだけど、常に視えたらうざったい”という感覚を3次元らしく、生っぽく、表現していただいていて。見たときに妙な説得力のようなものを感じました。
うざったいけれど、この光を自分に向けてくれる子がいたらとてもすてきだな、とも。
ロケーションに関しては原作の舞台にとてもよく似た環境で撮影しており、本当に漫画の背景そのものといった雰囲気です。
夏という季節も相まって、開放的で力にあふれていて爽やかな、恋を感じるのにとても良い形で撮っていただけたと感じています。
――西条役の神尾楓珠さん、北代役の西野七瀬さん、東雲役の平祐奈さん、宿木役の馬場ふみかさんのキャスティングについての印象を教えてください。秋★枝先生が作り上げた役を演じているみなさんのお芝居はどう映りましたか?
神尾楓珠さんに関しては、容姿端麗で華やかでオーラがある方なのに、風変わりでダサい男である西条をきちんと再現していて驚きました。
口調が現実離れしているし、そもそも実写に起こされることを想定して作っていないキャラクターだったので、どのような形で演じてくださるのか予想できずにいました。
いざ拝見してみると、言葉のテンポや所作がとても魅力的で、神尾さんに演じていただけて良かったと思いました。
北代役の西野七瀬さんは、口調をはじめ、何より西条との距離感を完璧に北代として再現していただけてうれしかったです。
「こんな女の子が近くにいたら」という、幼馴染の理想形というか。もう単純に、見ていてただただ「ああ、何て可愛いんだ」と思いました。
「こんな子が幼馴染だったらどんなに良いんだろう」と思いながら、北代が出てくる場面を楽しませていただきました。
平祐奈さん演じる東雲は、西条と同じく非現実的なキャラクターなので、こちらも実写になるときの形が想像できませんでした。透明感がありつつ芯の強さも持つ東雲を、目線、声、所作で表現していて。平祐奈さんの東雲を見て、逆に私が「ああ、これが3次元の東雲さんの答えだ」と教えてもらったように感じました。
西条と東雲というキャラクターが非現実的な分、馬場ふみかさん演じる宿木の、女子大学生のリアルさが、この作品に現実味を与えてくれましたし、地に足のついた物語になる大きな部分を担ってくださったように感じました。
冒頭の「カレシさん?」と聞くシーンの手の動きや、会話ですっとぼけるところなど、馬場さんの言動がいちいち良くて何度見ても飽きず、好きだなぁと思いました。
みなさんそれぞれ華やかな方々なのに、私が描いた“変な人”や“普通の人”をきちんと再現してくださっていて、役者さんの凄さというものを見せていただいたように思います。
正直、何となく描いていた私より、キャラクターへの理解度が高いといっても過言ではないように思います。