「ヤクルト1000」は「ストレス」と「睡眠」以外の効果も…⁉
――「ヤクルト1000」、大変なことになってますね!
工藤 お客さまからご評価をいただき大変うれしく思いますが、一部で品薄状態となっております。お客さまには大変ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申しあげます。
――やはりマツコさんのテレビでの発言が大きかったですか?
工藤 ヤクルトレディを通じた地道な価値普及活動に取り組んでいますが、たしかに番組放送後の反響は大きかったです。
――しかし、それは「ヤクルト1000」の高い品質あってこそ。なぜ「ヤクルト1000」は現代人にここまで受け入れられているのでしょうか。
工藤 コロナ禍で社会環境がガラリと変化し、お客さまは体の健康だけではなく、心の健康の課題も多様化している実感があります。そのなかで、「ヤクルト1000」の持つ「ストレス緩和」「睡眠の質向上」という機能が、現代社会の健康課題に合致した結果だと考えています。
――そもそも腸にいいイメージのヤクルトが、睡眠やストレスにも効果があることに驚きました。
渡邉 2000年代に入ってから、研究分野では、脳の影響が腸へ、腸の影響が脳へ、という“脳腸相関”が明らかとなり、注目を集めていました。そのような状況で、我々が取り扱う「乳酸菌 シロタ株」に関する基礎研究において、高菌数、高密度にすることで神経系に作用することが期待できることがわかったんです。
――そこから「ヤクルト1000」の開発が始まったわけですね。
渡邉 厳密にいうと、1999年に1本(80ml)に400憶の乳酸菌 シロタ株を含む「ヤクルト400」を発売して以降も、さらなる高菌数、高密度の商品を開発できないかと考えていたところでした。そこでこの研究結果が出たので、この神経系への作用をお客さまへのメリットとして具現化した商品を開発しようとなったわけです。
――では約20年も開発に費やしていたと……! かなり難航したことが想像できます。
渡邉 そうですね。「ヤクルト400」を発売したときもそうですが、高菌数・高密度化自体はこれまでもしています。ただ、「ヤクルト400」の400億という菌数も当時史上最高密度だったのに、それよりさらに増やすのは簡単なことではありません。菌の培養は様々な条件で変わってきますし、増やせたとしてもヤクルトは食品ですので、おいしさを保たなくては意味がない。その難しさを抱えながら、「乳酸菌 シロタ株」を扱って約90年間蓄積した弊社のノウハウによって、やっと今回の1mlあたり10億個という高密度にいきついたところです。
――胃と食道の病気を患っていた知人が、「ヤクルト1000」を飲み始めたら症状が改善した、という話を聞きました。ストレスだけでなく、こういった副次効果がある可能性も?
渡邉 検証をしていませんので、「ある」とは言えません。ですが、腸内環境はいろいろな機能に影響することが知られるようになってきております。ちなみに、弊社には健常な方の胃に対する機能を訴求する「BF-1(ビーエフワン)」という機能性表示食品もありますので、この商品も是非多くの方に知ってもらい、お試しいただきたいです。
――発売したばかりで申し訳ないんですが、もっと高菌数にすることは将来的には可能なのでしょうか。例えば、「ヤクルト2000」とか。
渡邉 400億から1000億にするのも本当に大変だったので、今のところはちょっと……(苦笑)。ただ、検討の余地はありますので、可能性はなくはない、といったところでしょうか。