「ヤクルト1000」をトクホに申請しない理由は?
――ネット上では、「寝つきがよくなるのは高い糖分が含まれているからだ」なんて意見も聞かれます。
工藤 従来のヤクルトに比べて、甘さはひかえめにしています。
――確かに、ヤクルトは“子供の飲み物”というイメージでしたが、今回の「ヤクルト1000」はあまり甘くなく、ビジネスパーソンにも人気。従来のイメージを払拭したい気持ちはあった?
工藤 「ストレス」「睡眠」への機能ということで、乳酸菌として新しい価値が提供できる商品でしたから、今までのイメージを変えていくことは意識しました。例えば、ヤクルトシリーズのCMでは大泉洋さんを起用して親しみやすさを表現していましたが、「Yakult1000」では蜷川実花さんや辻井伸行さん、「Y1000」ではMISIAさんといった、各界の第一線で活躍されているプロフェッショナルの方々を起用して先進性をアピールしたり、これまでと違った切り口で見せられたら、という思いがありました。
――見事にその作戦がハマっていますね。ネットでのバズり方が目を引きますが、SNS戦略も考えた?
工藤 商品の価値をお伝えし、お客さまに機能を体感いただくことに注力しています。結果として、お客さまから体感の声をいただき、それがSNSでの口コミの広がりにつながっていますね。
――ちなみに、「ヤクルト1000」は機能性表示食品。なんとなく「トクホ」(特定保健用食品)のほうが格が上の印象がありますが、トクホに申請はしないんですか?
渡邉 特保では、「ヤクルト1000」で訴求している「睡眠」と「ストレス」の機能はまだ許可されたものがないんです。
――そうでしたか! では今後、ヤクルトとしてはどのような展開を?
渡邉 引き続き「乳酸菌 シロタ株」はじめとした菌にさらなるポテンシャルがあるのかを検証する研究を継続して、新しくお客様に喜んでいただけるような機能を打ち出せるような商品を作っていきたいです。
工藤 現在、「Yakult1000」「Y1000」ともに品薄状態ですので、ひとりでも多くのお客さまに商品を手にとっていただく環境を整え、商品価値を実感いただきたいです。
――本日は超多忙なタイミングの中でお時間ありがとうございました。
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「Yakult1000」の売上は1日で平均114.7万本(2021年4月1日~2022年3月31日までの平均売上本数)、「Y1000」はおよそ28万本(2021年10月5日~2022年3月31日までの平均売上本数)。
「Yakult1000」は1本あたり1000億個、「Y1000」は1100億個の「乳酸菌 シロタ株」が入っているということで、
「1000億個×114.7万本+1100億個×28万本」
で、一日あたり14京5500兆個、という天文学的な数の「乳酸菌 シロタ株」が日本人の腸に届いていることになるのだ。7月から増産も始まるので、まだ飲んだことのない方はぜひ試してみよう。
(写真/榊智朗)