地元の強みを生かした上映が大盛況
そして今、うれしい悲鳴が上がっている。地元・藤沢市にある福祉施設「さんわーく かぐや」の活動を追った津村和比古監督によるドキュメンタリー映画『かぐやびより』(2022)の上映で、4月17日の先行上映より満席回が続出し、ロングラン上映となっているのだ。
「ご近所にある作業所が舞台で、津村監督から“上映するならシネコヤで”とお話をいただき、小さな劇場ならではの応援ができればと日本で最初の上映を決めました。はじめはゴールデンウィークを乗り切れるかな?という不安もあったのですが、地元紙に取り上げていただいたこともあって蓋を開けたら物凄い反響に。連日、関係者の舞台挨拶を行ったり、作業所で作られた作品を販売したりしています。この地域ならではの映画館の在り方を考えさせられるきっかけとなりました」(竹中さん)
今後も『かぐやびより』の海外映画祭出品へ向けてサポートしていく方針だという。さらに、自主製作者のDCP(デジタルシネマパッケージ)制作支援事業を計画中。また「鵠沼アートフェスティバル」の一環で行っている子供の映画制作ワークショップも継続して実施予定だという。確実にここが、地域の文化交流の拠点となっていることがうかがえる。
ちなみに、竹中さんが当初抱いていた映画製作の夢は?
「今はまだその気持ちはないのですが、90歳ぐらいになったら作りたいな。“おばあちゃん、映画監督デビュー”みたいな感じで。様々な人生を知った上で作る映画はどんな内容になるのか。自分でも楽しみです」(竹中さん)
含蓄に富む映画が完成しそうだ。
シネコヤ
神奈川県藤沢市鵠沼海岸3-4-6
https://cinekoya.com
取材・文/中山治美 構成/松山梢