食事摂取基準は「いい加減」に決められていた
では、どんな理由で日本人の食事摂取基準のバランスが決定されているのかを確認すると、これが非常に「いい加減に」取り決められたものだということがわかります。
日本人の食事摂取基準における三大栄養素比率においては、最初にたんぱく質が設定されています。体内で合成できないアミノ酸(必須アミノ酸)が不足しないように下限(13%)が決まり、上限については根拠なく20%としています。
これは、たんぱく質比率が35%までは問題はなかったという2018年の論文を引用しつつ、たんぱく質比率20%以上は安全面での今後の検討課題であるという2013年の論文を引用して20%を上限と定めているのです。
2013年時点での検討課題を検討し、その結果として2018年に35%でも問題がないと回答されているはずなのに、2013年の検討課題をそのまま採用し続けていることになります。
次に定められているのが脂質です。まずは、飽和脂肪酸摂取を7%以下にすることを考慮して、それによって脂質全体の上限もおのずと決定されるという理由で30%を設定しています。また、必須脂肪酸が不足しないよう下限(20%)が決まりました。
飽和脂肪酸摂取を7%以下にすることには目的も、その根拠もありません。飽和脂肪酸を制限してかえって動脈硬化症が増えたという論文があるからです。
さらに、飽和脂肪酸摂取を7%以下にするためには脂質全体が30%以下にならなければならないという根拠も存在しません。
オリーブオイルをふんだんにかけるのであれば、脂質全体の比率は上昇し、飽和脂肪酸の比率は低下していくでしょう。オリーブオイルには飽和脂肪酸が含まれておらず、一価不飽和脂肪酸だけで構成されているからです。
最後に、炭水化物は全体の「100%」から、「たんぱく質」「脂質」を引いた、50〜65%とされています。その理由として、炭水化物摂取が過剰で問題になるのは糖尿病だけであろうから、「100%-たんぱく質-脂質」で決めるとの記載があるのです。
しかし、炭水化物摂取が過剰で問題になる、すなわち、糖質摂取で食後高血糖が問題となるのは糖尿病だけではありません。
当然のこととして、糖尿病のみならず、明確な糖尿病予備軍(ここでは空腹時血糖異常を指します)も、糖質疲労を感じている人も(ここでは健診における空腹時血糖異常はないものの、食後血糖値が140㎎/㎗を超えている人を指します)、炭水化物(糖質)を控えめにすべきであって、炭水化物比率50〜65%であっていいはずがないのは、この比率の設定理由からも明らかだと思います。