西友はGMSから撤退、食品スーパーに転換
GMSがオワコン化していき、イトーヨーカ堂の失速が著しい一方、異なる動きを見せてきたのが、旧セゾングループの中核を担った「西友」だ。
かつてGMS業態として営業してきた西友は、主に関東の生活インフラを支えてきた企業で、イトーヨーカ堂とともに大きな勢力基盤を築いていた。
しかし現在、西友はGMS業態から離れ、食品メインのスーパー業態へと舵を切っており、GMS業態からの撤退が遅れたイトーヨーカ堂とは一線を画している。
店舗数を見ると、イトーヨーカドーが126店(2023年2月末時点)であるのに対し、西友は322店(2023年11月時点)と軽く上回っている。すでに同業態ではないので、単純比較はできないものの、店舗数だけで見れば両社の違いは明らかだ。
西川氏は、西友がGMS業態から撤退するきっかけとイトーヨーカ堂とは正反対の道を進むことになった理由を語る。
「西友はバブル崩壊で当時手がけていた金融事業が不良債権化したことなども影響し、業績悪化に苦しむように。そこで日本進出を狙っていた米国のスーパーマーケット大手『ウォルマート』が、東日本を中心に出店を広げていた西友に目を付けて、2002年に傘下へと加えました。
ウォルマートは、まずは不採算事業であるGMSから撤退し、ノウハウがあり利益も見込める食品スーパー事業に専念させる戦略を打ち出したのです。ウォルマートの経営理念であるEDLP(Everyday low price)の方針を徹底し、低価格路線を明確にしました」
西友の「毎日安く 毎日おいしく」というコピーは、ウォルマートの経営思想が由来だ。さらに西友の脱GMS路線は続く。
「西友では2000年に大手スーパーのなかでも先駆けて『西友ネットスーパー』を立ち上げた。そして2018年、楽天が西友のネットスーパー事業に注目し、提携を開始。同年、『楽天西友ネットスーパー』として再スタートし、楽天経済圏入りしたおかげで楽天ポイントを貯めることができるようになり、さらなる客層を獲得できたのです」