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育成に手ごたえのある管理職とそうでない管理職 

経営課題として、二重の意味(つまり次世代の人材輩出の成否と管理職層のエンゲージメントの高低を左右する)を持ち始めている若手育成だが、若手育成実感が高い管理職の特徴を分析していく。つまり、職場環境において、若手を育てられていると実感できているマネジャーの検討である。

まずはシンプルに概況を示すために、マネジャーのうち若手育成実感が高い群と低い群を分けた。

これを〝育成成功実感群〞/〝非実感群〞とする。つまり、大手企業において、若手育成に手ごたえを感じているマネジャー/そうでないマネジャーである。もちろん、この非実感群のなかにもグラデーションはあるが、ここでは全体像をシンプルに検討するためにこうした形で整理したことに留意いただきたい。

この育成成功実感群の割合を、〝育成成功実感率〞(以下、単に成功実感率とも)と表記する。育成成功実感率について、回答者の属性との関係を整理する。どんなマネジャーが若手育成の成功を感じやすいのだろうか。

まず管理職の年齢層別の成功実感率を図に示した。より年齢層が若年の管理職ほど成功実感率が高い傾向が見られる。30〜39歳では24 ・1%に達しているが、40〜49歳では18・0%、50代以上では13〜14%台となっている。なお、30〜39歳階層はサンプルサイズが小さいため、この点については留意が必要であるが、若年管理職ほど育成成功実感が高い者が多いことはひとつの傾向の可能性がある。

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様々な解釈があると思うが、筆者としては、これは単に「若いほど良い」ということではなく、「29 歳以下の若手の部下との年齢の近さ」が大きな要因となり〝水平的関係〞での育成がしやすいからなのではないかと考える。

現代の若手育成において、関係負荷(人間関係のストレスや理不尽さによる負荷)がマイナス要因になっていることがわかっている。年齢が近いことで、過剰な上下関係による「理不尽さ」や「なぜその指示を受けたのかわからない」という関係負荷の上昇を回避しやすいことが、若手と年齢の近い管理職の〝育てやすさ〞なのではないか。