コロナ禍を経て潮目が変化したフェス市場
昨年、野外アニソンフェス「Aichiアニソンフェス」、K-POPのライブイベント「THE SHOW LIVE in TOKYO」、音楽ジャンルの垣根を超えた大型フェス「X-CON」は、いずれも開催直前に突如中止を発表し、お蔵入りとなったことで大きな波紋を呼んだ。
2024年のフェストレンドを占う上でのキーワードやフェスビジネスの未来について、30年以上にわたって音楽フェスや企業イベントの企画制作を手がける株式会社インフュージョンデザイン・CEOの井出辰之助氏に話を聞いた。
※
日本では、1997年に「FUJI ROCK FESTIVAL」がスタートし、1999年に「RISING SUN ROCK FESTIVAL」、2000年には「SUMMER SONIC」と「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」と本格的に日本のフェス市場が産声を上げた。
こうした4大野外フェスを皮切りに以降、さまざまなフェスが立ち上がっていく。
井出氏は、神奈川県・横浜市で開催される音楽とアートのカルチャーフェス「GREENROOM FESTIVAL」や野外音楽フェス「TAICOCLUB」といった大型フェスの立ち上げに参画し、日本におけるフェス文化の浸透に貢献してきた。
そんななか、現状のフェス市場について「コロナ禍で潮目が変わり、2024年は大きな転換期を迎える年になる」と井出氏は予測する。
「コロナ禍の初年度は野外フェスが開催できず、どの興行主も苦境を強いられました。なんとか生き延びるために、政府の支援策であった『J-LODlive補助金』の申請を行い、資金の工面をしながら興業が再開できる時期まで耐えしのいだわけです。
2023年にコロナ禍が明け、従来どおりの制限のない野外フェス開催が可能になった今、その助成金を受けたか否かで、かなりの差が生じていると感じています」