「故郷に錦を飾る」ではない価値観
ロック歌手の西川貴教さんは面白い人ですね。
ロック界のスーパースターなのに「地方創生」をテーマに活動されていて、武道館のコンサートでも政治家に扮する演出をされたり、BS Japanext でも故郷滋賀県を元気にするというテーマで「西川貴教のバーチャル知事」(毎週土曜日、二一時から全国放送)という番組を持っていたりします。私も先日、この番組にゲストでお招きいただき、出演してきました。
実際にお会いしてみると、スターなのに全くスターぶっていない、爽やかなイメージの方でした。
彼は滋賀県の野洲市の生まれということで、毎年開催しているロックフェスティバル「イナズマロック フェス」はお隣の草津市で開催しています。3日間で15万人も動員するコンサートだそうで、地元への経済効果も相当なものだと思います。
西川さんは生まれ育った滋賀県が本当に好きで、どの活動も「滋賀を良くしたい!」という純粋な熱意によるもの。フェスも開始当初の赤字はご自分で負担しておられたそうです。私が出演した番組でも、どうしたら滋賀県が良くなるか、人が集まってくるか、まちが活気づくか、大真面目に議論し、徹底的に事実を調べて、実践していました。
その姿勢を見ていると、いままで日本人の価値観に影響を与え続けた「故郷に錦を飾る」的ではないものを感じます。
「故郷に錦を飾る」というのは、よそ(だいたいは東京)で成功して、ふるさとで「どうだ、俺はすごいだろう」と自慢する、ということになるわけですね。でも西川さんの場合は、矢印の方向が逆なんです。言動の原点には必ず故郷があって、むしろふるさと自慢をよそでする、というイメージ。本当に故郷が好きだという気持ちが溢れている。だから地元の人たちも気持ちよく彼に引き込まれていく。
ああいう人を、私は好きですねぇ。地方創生にも素敵なプレイヤーが現れたものだと感心しています。