お金や“てんちむ”より大事なもの
「大事なもの」とは何か聞くと、「自分の心」と返ってきた。
「自分の心が本当に一番大事。私はどうしたいんだろうって考えると、もっとプライベートを大事にしたいって結論に至りました。てんちむでいるとプライベートをおろそかにしちゃうから、てんちむを辞めない限り幸せにはなれないって思うんですよ。これは今に始まったことじゃなくて、前からずっと言ってることですけどね」
てんちむを辞めたい。
炎上前も、炎上中も言っていたことだ。でも、努力して返金を終えて「てんちむでよかった」と思ったのではなかったのか。
てんちむはバーレスク東京の卒業公演を終えて、目尻を拭いながら「私に生まれてよかった」と言った。その「私」というのは「てんちむ」ではなく「てんちむをまっとうした橋本甜歌」だったのだろうか。
お金にも“てんちむ”にも、執着がない。だからいつでもリセットボタンを押せてしまう。
リセットボタンはてんちむの延命装置になっていたが、リセットして延命できてしまったがゆえに、てんちむによって殺された心を生かす機会は奪われ続けたのかもしれない。自分の心と向き合い育てる間もなく、次々にリセットして新しい自分を作った。
それが幸か不幸かは、本人にしかわからない。
文/秋カヲリ
写真/『推される力 推された人間の幸福度』より出典
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