値上げというマイナス要因を跳ね返した新たな看板メニュー

すき家のメニュー開発力の高さを証明するメニューの1つに「ほろほろチキンカレー」がある。

2021年12月に販売を開始し、瞬く間に売り切れ店が続出するほどのヒット商品となった。すき家の2021年12月の来客数は前年同月比で115.7%となっていて、その後3か月間でも前年比を超えている。

すき家は2021年12月から牛丼の並盛を350円から400円に引き上げた。牛丼は、きわめて値上げに敏感な反応をされる商品の1つである。本来なら客数減少を覚悟するべきだが、すき家は「ほろほろチキンカレー」で客数の減少を抑えている。

牛丼のアレンジのバリエーションは限られる。そこで、すき家は国民食であるカレーで勝負を仕掛けたのだ。「ほろほろチキンカレー」は子供にとっては辛すぎるという意見もあるが、すき家は子供向けに「お子様向けメニュー」としてラインナップに並んでいるのでファミリー層にも不安はない。

むしろ、集客の一番のポイントである、大人が来店したいと考える看板商品を開発したと考えるべきだろう。「ほろほろチキンカレー」並盛は690円という単価を考えても、大人向けに開発されたことは間違いない。辛みの強い商品はリピートしやすいという特徴もある。

ほかにも、すき家は「デミバークカレー」や「黒糖ゼリーほうじ茶ラテ」を開発するなど、ファミリーレストラン化している。幅広く全エリアに出店するという戦略をとっている以上、メニュー開発の強化は必須となる。

ポイントは新商品を次々と開発しても、店舗オペレーションがそれについていけなければ意味がないということだ。しかし、すき家は失敗をバネにオペレーション強化にも動いた。