ペンス元副大統領をも揶揄
その場にいる共和党の政治家すべてを敵に回す発言に、会場がざわめいたのは言うまでもない。その後もラマスワミ氏の舌鋒は止むことなく、次々とピンポイトで政敵を攻撃した。たとえば、ペンス前副大統領にはこんな揶揄めいた発言をしている。
「皆さん、そろそろ決め台詞も尽きたころなので、本音がわかる事態となりましたね。とくにペンスさん」と揶揄。
これに対し、ペンス氏も「今は、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの余裕はない。新人は使い物にならない」と応酬を試みたのだが、ラマスワミ氏はすました表情で「大口献金者の操り人形をとるのか、真実を求める愛国者をとるのか」、「ゆるい改良主義者をとるのか、革命家をとるのか」と、さらにペンス批判を畳みかけたのだった。
「革命」を売り文句にする候補らしく、ラマスワミ候補の政策は超過激だ。討論会でも「気候変動はホラ話」、「炭素税などは経済の足枷だ。事実、気候変動で犠牲になる人より、気候変動政策で犠牲になる人のほうが多い」と怪気炎を上げている。
こうした主張に「だれかに金でももらっているの?」(ヘイリー元国連大使)、「チャットGTPみたいな話し方にはもうウンザリだ!」(クリスティー元ニュージャージ州知事)と、他の候補が異論を述べても、まったく怯む気配もない。
それどころか、司会者から「ウクライナ支援は?」と聞かれると「プロ政治家が続々とゼレンスキー教皇に面会するためにキーウ詣をすることは侮辱的だ。その前に(山火事で被害にあった)マウイ島やシカゴの貧困街に行くべきだ」「ロシア制裁は中露を緊密にさせるだけだ。ウクライナのロシア占領地域はロシアにくれてやる」と、孤立主義者の片鱗を誇示。
さらには「ウクライナの国境が侵犯されたと騒ぐ前に、米国のメキシコ国境が侵犯されている問題に軍事力を使うべき」、「麻薬流入を阻止するため、メキシコの麻薬カルテルに対して米軍を動員させる」と介入主義者の面も見せるなど、まさに言いたい放題だ。