世界一進んでいる核廃棄物最終処分場の建設

核廃棄物管理、使用済み核燃料の最終処分において、フィンランドは世界でも先端的である。

最終処分場の建設について、プロセスの進行を国際的に比較してみると、処分場の建設にまで着手している国は、フィンランドのみである。最終処分場の用地の決定まで終えている国としては、スウェーデンとフランスを挙げることができる。

アメリカも処分場の用地について、ユッカマウンテンに決定している。ただし、政権交代によって方針が一定せず、許認可手続きは中断している。共和党政権は推進しているが、民主党政権は後ろ向きであり、バイデン政権は中間貯蔵を進めていくものと見られている。

日本の核廃棄物処分の参考になるのか? 原発増設支持が3年半で25%も増加しているフィンランドの世界一進んでいる核廃棄物“最終”処分場とは_5
すべての画像を見る

イギリス、カナダ、そして日本は、処分場の用地の決定にも至っていないのが現状だ。

フィンランドの核廃棄物最終処分場(オンカロ)は、オルキルオト原子力発電所に併設して建設されている。

オンカロとは、フィンランド語で空洞を意味している。地下400〜450mの岩盤地層において、使用済燃料など6500トンを埋設する計画で、ポシバ社が建設にあたっている。

2016年から建設が進められており、2021年には操業許可が申請された。早ければ2024年下半期には運用が開始される計画となっている。高レベル放射性廃棄物処理施設としては、世界初となる予定だ。10万年にわたる保管が想定されている。2013年には、小泉純一郎元総理が視察した。

処分場建設に至るプロセスに関して、日本はフィンランドを参考にして、一刻も早く前に進めていく必要があるだろう。

文/村上政俊 写真/shutterstock

#1『フィンランドの防衛技術が日本の領土を守る⁉︎ 75年ぶりに国防武官が在日大使館に着任。防衛軍制服組トップと国防相が立て続けに訪日する異例の事態も…』はこちらから

『フィンランドの覚悟』(扶桑社新書) 
村上 政俊 
日本の核廃棄物処分の参考になるのか? 原発増設支持が3年半で25%も増加しているフィンランドの世界一進んでいる核廃棄物“最終”処分場とは_6
2023/9/1
¥968
224ページ
ISBN:978-4594094263
世界幸福度ランキング6年連続1位!
教育・福祉・働き方先進国で平和な中立国……
であるはずのフィンランドに
なぜ、徴兵制があるのか?


◎18歳以上の男子に兵役、女性の兵役もOK
◎総人口の16%が予備役
◎国民の82%が「自国が攻撃されたら祖国防衛に参加」と回答
◎憲法で全ての国民に「国防の義務」を規定
◎スウェーデンとロシア帝国による統治
◎フィンランドの英雄は日露戦争へ従軍
◎第二次世界大戦ではソ連と戦い敗戦国に
◎1300キロの陸上国境を接するロシアの脅威
◎ロシアを仮想敵国とした安保体制を整備
◎NATOにスピード加盟できた外交力
◎原発推進でロシアのエネルギー依存回避
◎世界一進んでいる核廃棄物最終処分場の建設

日本では報じられないフィンランドのもう一つの顔!
amazon