原発の新設

現在では、フィンランド国内で、合計5基の原発が稼働している。

そもそもフィンランドにおける原子力発電所の建設は、1970年代に始まったが、そこにも当時の冷戦という国際情勢が、大きく影を落としていた。

南西部にあるオルキルオト島は、スウェーデンの対岸に位置し、スウェーデンで開発された沸騰水型原子炉(BWR)が導入された。これ対して南部の街ロヴィーサでは、ロシア型原子炉(VVER)が建設された。原子力政策においても、東西間でのバランスが図られた。

ロシアによるウクライナ侵略は、フィンランド国内における原子力発電所の建設計画にも影響を与えた。

フィンランド中西部ピュハヨキのハンヒキビ原発では、ロシア製の1号機の建設が、フェンノボイマ社(フィンランド66%、ロシア34%)によって計画されていた。だが、建設許可の申請は2022年5月に取り下げられた。フィンランドは原子力政策についても、ウクライナ侵略を契機として、ロシアへの配慮を捨てて、西側を選択した。

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ヨーロッパ最大級の出力を誇るオルキルオト原子力発電所3号機が、2023年4月に本格稼働を開始した。産業界の共同出資により設立されたテオリスーデン・ヴォイマ(TVO)社が建設にあたり、欧州加圧水型原子炉(EPR)が採用された。原発の新設は、フィンランドでは同原発2号機以来で約40年ぶりだった。ヨーロッパ全体で見ても、原発新設は約16年ぶりであった。

加えてロヴィーサ原子力発電所では、1号機と2号機が稼働している。同原発の運転期間については2023年2月に、フィンランド政府によって延長が承認された。2050年まで延長となり、70年間を超えて運転されることとなった。