すごみ2 : 地域で異なるメニュー

「ほっともっと」の商品力のすごみの2つめには、地域ニーズへの対応がある。例えば、人気第3位の弁当「チキン南蛮」は、東京ではタルタルソースと甘酢・南蛮ソースのどちらかを選べる。

「チキン南蛮」タルタルソースVer.
「チキン南蛮」タルタルソースVer.
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これが、九州地域では甘酢・南蛮ソース1つに絞り込まれていたり、チキン南蛮の本場である宮崎県では特別に手作りのタルタルソースが店で作られていたりするのだ。かつ丼のかつをとじるタレやサイドメニューのミニうどんの汁も東西で味が変えられており、季節商品の天丼のタレはその地域の味の好みに合わせ、九州では甘みの強いものが採用されている。


「チキン南蛮」甘酢ソースVer.
「チキン南蛮」甘酢ソースVer.

それ以外の弁当でも、地域ごとの好みに合わせたきめ細やかな商品作りが徹底されている。沖縄では「麩(ふー)ちゃんぷるー弁当」、岡山では「とりめし」や「ひるぜん焼そば」など、地域に住んでいる人にしっかり刺さる限定メニューが豊富なのだ。地域ニーズに応える「真のご当地メニュー」の存在は、消費者にとって嬉しい驚きになっている。

すごみ3 : 「から揚」が1〜2年でマイナーチェンジされている

3つめのすごみは商品の改良にある。特に、「ほっともっと」の人気第2位の「から揚シリーズ」は、近年本格派のからあげ専門店やコンテスト受賞店が増えている中で、その激戦を勝ち抜くための改良が日々おこなわれているのだ。

日夜マイナーチェンジが繰り返される、から揚弁当
日夜マイナーチェンジが繰り返される、から揚弁当

1,2年の間にガラッと変わってしまうというから揚のトレンドを調査し、そのトレンドを取り入れながら、味がリニューアルされる。ちなみに2023年6月のリニューアルでは、薄い衣でパリッと感を重視した味わいを採用した。ただし、もとの味のファンも大切にするために、味を変えすぎない絶妙な改良バランスに注意しているという。

また、から揚は出来立てが美味しいのは当たり前。持ち帰り弁当として、買ってから家で食べるまで、15~30分たっても美味しい味となるよう、数えきれない検証を行ったうえで作られている。仕事終わりに買って帰った、から揚弁当が家で食べても美味しい理由がまさにここにある。

社内でから揚の研究を担当する石井さん
社内でから揚の研究を担当する石井さん

そしてから揚弁当には、「から揚スパイス」と「レモン果汁」の2つの調味料が付いてくる。前者はローズマリーやニンニクなどを独自に配合し、長年ほぼ不変の特別な味として人気で、から揚だけでなくご飯にかけても美味しいと評判だ。レモン果汁は一時期なくしていたが、ファンの根強い要望に応じて復活されたものだという。

大人気のから揚スパイス 
大人気のから揚スパイス 

ちなみに「から揚スパイス」のレシピの材料比は、社内でもほぼ知る人がいない秘伝の調味料なんだとか。