壮絶な性病に感染する10代の女の子たち
丹羽先生はそのような若い女性たちに性感染症の種類とそのリスクを説明する。
説教にならないように女性目線で話すことを心がけており、ここでの出会いをきっかけに丹羽先生が運営する咲江レディスクリニックへ受診に来てくれる女性もいるという。
「受診に来てくれた18歳の子は、とてもきれいな子で、風俗で働きながらヤクザの美人局をしていると言ってました。
生理が来ないというので検査をすると妊娠反応が出たのに加え、梅毒も陽性だったため急きょ、治療をして中絶手術をしました。ですが、梅毒のその後のフォローアップには来ず……。きちんと治っているか心配です。
このように性感染症の治療途中で来なくなってしまう子は非常に多いのです」
クリニックでは児童相談所に入所する際の子どもの性感染症や妊娠検査も行っているが、丹羽先生いわく、公園に集う10代の子どもたちは、性感染症や妊娠が発覚しても後回しにする傾向があるという。
一方で、壮絶な性感染症や妊娠の果てに、出産することを決めた子もいたそうだ。
「15歳でトー横でパパ活をし、その後、地元の名古屋に戻ってドン横にいた子は、咳止め薬をオーバードーズしてビルから飛び降りようとしたところを取り押さえられ、児童相談所に入所することになりました。
彼女は子宮頸がんの原因となる6種のヒトパピローマウイルスと尖圭コンジローマ、クラミジアに同時感染していました。コンジローマのイボは膣内にまでびっしりとできており、レーザー医療を6回ほどして完治しました。
その後、妊娠していることがわかり、妊娠12週に差し掛かるタイミングで産むことを決断したんです」
母親としての自覚を持って、しっかりと育てようとしての決断かというと、そうでもなかった印象を受けたという。
「なんとなく産むという感じでした。もちろん相手とは今も連絡が取れず、出産後の環境についても不明。12週目以降の検診は総合病院に移ってしまったため、今どうなっているかわかりませんが、相談があればいつでも支援したいと思っています」