集う若者たちにすべき大人の役割とは
昨年、設立20年を迎えた咲江レディスクリニックでは、毎日100人以上の患者を診ている。その他、中高大学だけでなく少年院での性教育に関する講演などを行いつつ、池田公園での活動も続けていく。その原動力は何なのか
「よく、居場所がないからドン横や池田公園に集まると言いますが、彼、彼女らの実家は必ずしも虐待やネグレクトがあるわけではありません。
家や学校に居場所はあっても、もっと楽しい場所があるから来てしまうんです。大事なのはそこに見守る大人がいるかどうか。
ですが、警備的に見守るのではダメです。学校の保健室のような、子どもたちがいつでも気ままに来れて、無条件に受け入れてもらえる場所であることが重要だと思ってます」
また、丹羽先生は「本当に危険なのはドン横や池田公園に集う子たちではない」と話す。
「マッチングアプリで出会って相手の身元がはっきりしないのにセックスをして……と常に単独で行動している女の子が一番危険です。
そういう子こそが意図しない妊娠をすると、どこともつながりがないから育てるつもりもないのに子どもをひとりで産んで、そしてコインロッカーなどに遺棄してしまうのです。
だからこそ、公園などに集まる子どもたちも含めて、そこにうまく大人が介入するような仕組みを作れたらと思います」
丹羽先生自身もひとり娘を産んだあと30代で離婚し、更年期障害に苦しみながらもクリニックを開院して仕事を続けている。
「すべての女性の“幸せだと思える人生を歩むお手伝い”ができたらと思って、日ごろの診療や街角保健室の活動をしています」と丹羽先生は言う。
後編では大阪のグリ下に集う若者たちの現状を取材する。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班