将来、昆布が食べられなくなる!?

1970年代に比べて日本人の食が欧米化し、米の消費量が減っていく中、つくだ煮を食べる機会は減ってきている。
同社では、健康志向に対応した塩分控えめシリーズやご飯やおにぎりの具材だけでなく、調味料として使ってもらうように、提案している。

また、原料となる昆布の生産量は30年前に比べて6割減、生産者は10年で21%減と、こちらも右肩下がりで下がり続けている。
海水温の上昇や生産者の高齢化、後継者不足などが原因だ。

「このままでいくと、やがて昆布が食卓から消えるという危機感があります。そこで当社では、少しでも生産者さんの負担を減らすため、従来、昆布を乾燥させて出荷するところを、水揚げしたその日のうちに洗浄、切断し冷凍貯蔵した昆布を出荷できるようにしました。
重労働になっていた乾燥工程をなくし、生産者さんの負担を減らすことで、昆布の製品を増やし、昆布漁が盛んになってほしいという思いで取り組んでいます」(胡麻﨑さん)

それが「ふじっこ煮MIRAIシリーズ」だ。

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「梅入り生昆布」は冷奴に乗せて食べるのがおすすめ
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もちろん、消費者にとっても「生昆布」を使うことで、昆布本来の弾力のある食感や鮮度の良さ、磯の風味を実感できる商品となっている。

「おやさい生昆布」と「梅入り生昆布」の2種類のフレーバーがあり、2023年3月に販売されて、注目されている。

持続可能な取り組みと日本の伝統的な食文化をどう守っていくのか、同社のチャレンジは今後も続く。

ふじっ子煮サイト
https://www.fujicco.co.jp/fujicconi_yorokonbu/home/

取材・文/百田なつき