「ふじっ子煮」はつくだ煮界の革命児
昆布つくだ煮のシェアで50%以上のシェアを持つフジッコの「ふじっ子煮」。1971年に誕生、今年で53年目を迎え、販売も20億パック以上を達成している。
「ふじっ子煮」はなぜここまでロングセラーとなったのだろうか。
それは誕生時のさまざまな工夫によるところが大きいようだ。
「昔は、つくだ煮と言えば量り売りでした。日持ちをさせようとすると塩分をすごく高くしないといけないし、量り売りだと酸素に触れる機会が多くなるため、風味が悪くなってしまうというのが悩みでした。
お客さまにつくだ煮のおいしさをそのまま届けたい思いから、酸素による劣化を防ぐため窒素ガスを充填し、カップで販売するという開発に成功したんです。
今では当たり前の技術かもしれませんが、当時はかなり画期的だったんですよ。
つくだ煮界の革命児とも言われました」とフジッコ株式会社コア事業本部昆布事業部の胡麻﨑柾徳さん。
パックしたことで、日持ちがよくなり風味を損なうことなくおいしく食べられるようになったことに加え、流通面でもスーパーに並べやすくなったというのもヒットの要因だ。
折しも1970年代はスーパーマーケットの成長期時代で、消費者が手に取りやすくなったことも大きいだろう。
パックは2010年にさらに改良し保存に便利な「パチッ!とカップ」を採用。皿がなくてもそのまま食卓に出せて、ひとり暮らしや多様なライフスタイルにも対応させている。
また素材は主に北海道釧路産の昆布を使用。
「おしょうゆと砂糖で仕上げる昆布のつくだ煮は、日本人なら誰でも好きな味で、飽きのこないものだと思います。『海外から帰国したら真っ先に食べたくなる味です』とうれしいお声をいただくことがあります。いつも食卓にあったことで、家庭内で受け継がれる食品になり、今も変わらずお客さまに愛されている商品と思っております」(胡麻﨑さん)