何年かすると棺が出されて燃やされる墓地…金を払えば免除
一緒に来た人たちは、他人の墓に腰を掛け、持ってきたお菓子を食べている。国が違えば、埋葬方法も、墓参りの仕方も違う。
叔父さんの眠る墓地の上下左右はまったく知らない人だ。きっと、他の墓参りに来た人たちも同じようにゴミを捨て、墓に腰を掛けているのだろう。
「何年かすると中から棺が出されて燃やされるんだ。場所が空いたら、また違う人が入る。もし出されたくなかったらお金を払わないといけない」
死んだ後も金がかかる。
よくよく見渡してみれば、屋根と柵が付き、まるで家のような墓地もある。金持ちは墓地も豪華だ。貧乏人は共同墓地で、さらに何年かしたらそこからも出されてしまう。
出稼ぎに行くフィリピン人の目的は、家族の生活を助けたい、裕福になりたいというものだが、大前提として、自分の大事な人たちが死なないように、という気持ちがある。
ただ贅沢がしたい、金が欲しいというだけではなく、幼い頃から貧しさゆえの「死」が身近にあり、大切な人達の命を守るための手段が、出稼ぎしかないのだ。
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