高卒2年目で結果を出せる選手が少ない理由
前川選手は、練習の中で素振りを大切にしているそうですが、これは金本知憲さんなども同じでした。自分の形を作って打つタイプの打者は素振りをすることで、いろいろなことが確認できるのだと思います。
もちろん打者のタイプによって練習方法は様々で、例えばイチローさんはボールを打つ練習を重視し、ほとんど素振りはしなかったと聞いたことがあります。
自分も現役時代は、素振りよりも実際にボールを打ちたいタイプでした。動きの中で打つタイプの打者は、動いてボールに合わせるという作業がない素振りで形を固定してしまうと、実際の打席で力みにつながってしまうのです。
自分はひたすらボールを打って、その感覚を合わせていくほうが結果につながったので、こういった選択をしていました。
それに対して前川選手は、自分の形さえしっかりできていれば、どのピッチャーであっても関係なく打てるタイプの打者なのだと思います。まだ20歳という年齢で、自分がどんな練習をすればいいのか、どうすればいい状態を保てるのかをわかっているのは、素晴らしいことです。
自分がプロに入った時よりも、はるかにいい打撃をしていると思いますし、試合の中でいろんな投手と対戦しながら、対応していく能力も高いと思います。
そもそも高卒2年目で結果を残せる選手が数多くいるわけではありません。近年では、巨人の坂本勇人選手、ヤクルトの村上宗隆選手、オリックスの森友哉選手などでしょうか。
早い段階で結果を出す選手は、内野手であったり捕手であったり、いわゆる“替えがきかないポジション”が多いものです。
それに対して外野手は打撃を武器にしている選手が多く、打撃面で継続的に結果を残さないと、どうしても試合に出続けることができません。
打撃の調子が悪くなり、試合に出る機会が減ってしまうことまで考えると、追いこまれてから、どういう打撃をするか、調子の波をどうやって少なくするかといった細かい部分が、前川選手のこれからの課題になってくるのではないでしょうか。