鉄人・金本知憲を彷彿とさせるホームラン
野球選手として、ボールを遠くへ飛ばす能力は、非常に価値あるものです。
プロ1年目に24本塁打、プロ2年目に20本塁打を放った佐藤輝明選手に、プロ3年目の今シーズンも大きな期待がかけられるのは、ある意味必然と言えるでしょう。
3月・4月の成績を見ると、96打席に立ち、打率が.215 、3本塁打、8打点でした。なかなか調子が上がってこないというような報道も多く見られましたし、自分も心配しながら見ていた時期がありましたが、シーズンを通して約600の打席数があると考えると、まだまだ序盤です。
たまたま最初の100打席で結果が出なかっただけだと捉えるべきだと感じていたところ、5月に入ってからは、ホームラン、打点が増え、間違いなく状態がよくなってきました(5月の月間成績は打率.295、5本塁打、打点16/22日現在)これは、急激に何かが変わったわけではなく、これまで試行錯誤してきたことが組み合わさった結果、この時期にようやく形ができ上がってきたのだと思います。
5月14日の横浜DeNAベイスターズ戦では、今永投手が投げた見送ればボール球を通常では考えられないような低い弾道(打球角度20度)で、それも右手1本で阪神甲子園球場のバックスクリーンに飛び込むライナー性のホームランも放ちました。
阪神タイガースが本拠地とする甲子園球場は、いわゆる「浜風」が、ライト方向からレフト方向に向かって吹いているため、左打者にとってはアゲインストの風となり、ホームランを打つには不利な状況であることが多いのですが、ライナー性の打球は、あまり風の影響を受けません。それでも、あの打球角度でスタンドに放り込むのは並大抵のことではありません。
タイプは違いますが、2005年に40本塁打を放った金本知憲さんが、ライナー性の打球を右中間スタンドやバックスリーンに放り込んでいたことを思い出します。
きれいな放物線を描くホームランだけでなく、ライナー性の当たりでもホームランにできるということは、金本さんのようにシーズン40本塁打といった可能性さえも感じさせてくれます。