物議を醸した初登板での交代劇
阪神タイガースの交流戦前までの成績を見ると、31勝14敗で貯金17。岡田彰布監督が「全然できすぎ」と言うほどの好調ぶりです。
先発投手がしっかり試合をつくり、チーム防御率は6月1日時点で12球団トップの2.66。特筆すべきは、プロ3年目・村上頌樹投手の活躍でしょう。開幕投手を務めた青柳晃洋投手がファームで調整中という状況の中、交流戦の初戦のマウンドを任されたことから、短期間でチームから大きな信頼を得たことがわかります。
ご存じの方も多いと思いますが、村上投手は今シーズン初登板となった4月12日の巨人戦(東京ドーム)で、7回裏終了までパーフェクトピッチングを継続し、完全試合まで、あとアウト6つのところまで迫りました。
それだけに、8回の攻撃時に代打を送られ、降板となった交代劇には、賛否両論の声がありました。中でも「完全試合を達成する可能性があったのだから、交代させるべきではなかった」という意見が多かったように感じます。
個人的には、交代させたのは、それだけの理由があったのでしょうし、ベンチの外からどうこう言う問題ではないと思います。何より、村上投手の降板後にチームが勝ったという結果がすべてではないでしょうか(後続の投手が同点に追いつかれたものの、延長10回に勝ち越し、勝利)。
チームが勝つためにベンチが選択した村上投手の交代には、意味があり、“生きた戦略”だったと言えるでしょう。仮にあの試合が、村上投手の今シーズン初登板ではなく、今のようにベンチからの信頼を得た状況であれば、判断も変わったかもしれませんから。