お酒を飲ませてセックスして動画撮影
――他にも現在の大学という空間の闇を感じたことはありますか?
ちなみに、男子学生が狙いを定めた女子学生を落とす方法も全部チームなんですよ。これも私が北九州市立大学で実際に見聞きした事例ですが、だいたい5人いたら2人が地元で、3人は市外や県外から来ています。ターゲットになる女の子は必ず県外の子で、まずグループワークのある授業で、わざとその子を囲んで座る。そして授業にかこつけてLINE交換して、「今度、飲みに行こうよ」と誘うんですが、それはその子のことを好きでもない男の子が担当します。 照れもないから気軽に誘えるんですね。で、お酒を飲ませてセックスするんだけど、それを動画で撮っちゃうんです。
そうしたら「動画見たよ、こんな女の子だったんだね」って、別の男が次から次へとやってくる。実際に、その被害にあった女の子に話を聞いたんだけど、驚くのは別にその男の子たちに対して「殺してやる」みたいな気持ちは芽生えていない。狭い大学内で顔を突き合わせても、普通にやり過ごせるんです。それは我々の時代には無い感覚というか、人間関係までオンラインなのかなぁと思いましたね。
――すごい話ですね……。
そして、そんな彼ら彼女らが、普通の顔をして役所などに就職していくんです。だから、彼らの価値観ではお金に綺麗も汚いもないんですよね。昔は、どうお金を得るかということにもすごくこだわりがあったと思いますが、いまは結果だけ。この感覚は、トー横キッズたちにも共通しているんじゃないかと思います。今のガキたちは、お金にすごくダイレクトですよね。
――押川さんは、トー横(新宿・歌舞伎町、TOHOシネマズ横の通路に溜まる若者たちのコミュニティを指す言葉)の視察もしてきたそうですね。
トー横に食い込んで取材をしている新潮社の記者にエスコートしてもらいました。ひと通りぐるっと回りましたが、ラスベガスのような空気感がありましたね。あるいは、タイのような雰囲気でもあるんだけど、それよりも女の子が整っちゃってる。なんでも、いまはトー横がブランドになっていて、家出してトー横でバイ(売春)したってだけで、地元に帰ればクイーンになれるんだそうです。
――押川さんが設立した「トキワ精神保健事務所」の所在地も歌舞伎町ですが、時代の変化を感じますか?
歌舞伎町には事務所を立ち上げる前の大学生時代から入り込んでいたので、30年以上見てきました。私が若い頃も、今と同じくらい家出の女の子たちは来てましたよ。