サンセバスチャンの特徴

サンセバスチャンはスペイン北部、バスク州にあり、「ビスケー湾の真珠」といわれるほど風光明媚な場所。欧米の人たちにとってはリゾート地として有名です。

バスクはフランスやスペインと違ったバスク人の居住地として、かつては過激な独立運動も起こった地域ですが、バスク語がスペイン語とともに公用語とされています。そのため、サンセバスチャンの正式名称は、バスク語のドノスティアとつなげた「ドノスティア=サン・セバスティアン」となるのですが、通常はサンセバスチャンと呼ばれているので、この本の中ではそう表記したいと思います。

サンセバスチャンの特徴は、3つ星レストランを筆頭にしたファインダイニングと旧市街を中心とする伝統料理店やバル(居酒屋)がともに存在することです。

たとえばサンセバスチャンには、スペインで3つ星を獲得したレストラン7店のうち、アルサック(ARZAK)、アケラレ (AKELARRE)、マルティンベラサテギ(Martin Berasategui)の3店があります。3つ星以外の星の数も合わせると、ミシュランの星は合計19。サンセバスチャンは平方メートル当たりのミシュランの星が最も多い街のひとつとなっています(1位は京都です)。

ミシュランの星付きのレストランはバスク料理といっても、フランスやエル・ブジの影響を受けた「新バスク料理」を提供する店が多いのですが、星はなくても、ビスケー湾で獲れた豊富な海の幸を活かしたシーフード料理と内陸部のエブロ川流域の谷で獲れた山の幸を使った「海バスク・山バスク」と呼ばれる伝統的なバスク料理を提供し、食いしん坊たちに支持されているレストランも同時に存在しています。

それがサンセバスチャンの食文化を深いものにしているのです。

世界一熱い美食の街、スペインのサンセバスチャン。美食が金を生む、日本が見習うべき美食の街づくりとは?_2
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