クレディスイスに、汚職官僚や犯罪者らの不正資金口座疑惑

2023年3月9日、クレディスイスは22年度決算で最終損益が72億9300万スイスフラン(約1兆円)の赤字だったと発表し、経営不安による顧客の預入資産の流出が原因だとした。

表面的には22年10月頃から経営不安が強まり、富豪顧客が預金引き出しを開始していた。このため7%という高金利を謳って、クレディスイスは中国へも進出した。

日本の定期預金は100万円を1年預けても利息は雀の涙にもならない! クレディスイスは新規500万ドル以上の預金に対して3ヶ月定期預金に年率6.5%の金利を設定。1年物では最高7%の金利を設けた(スイス政府の保証はひとり13万5000ドル)。

中国に開設した合弁の「クレディスイス・セキュリティーズ(中国)」は深圳に限られていたブローカー免許の拡大も認められ、中国全土で営業をはじめた矢先だった。同行は米国投資銀行と熾烈な競争を繰り返し、その無謀とも言える拡大主義によって多くの不祥事を起こし、信頼を落としてしまった。

危機のクレディスイス、汚職官僚や犯罪者らの不正資金口座疑惑浮上…中国・深圳に合弁会社を作った矢先の惨劇_3

内部告発情報を基に行った調査で、クレディスイスに、汚職官僚や犯罪者らが不正資金を預けた口座がまだ数十件あるという疑惑が浮上した。

「スイス・シークレット」と名付けられた同調査では数十件の問題口座を特定。預金額は計80億ドル(約9200億円)を超え、汚職スキャンダルに関与した重要人物の名前もある。ベネズエラの石油関連汚職で告発された官僚や、追跡不可能な57億ドルの負債を抱えて自身の銀行が破綻し、ポルトガルで捜査を受けているアンゴラの銀行家らの名前が挙がっている。

かくして秘密口座の機密が漏洩し世界の富裕層はスイスに預金口座をおく必要性がなくなった。

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国際金融危機!米中メルトダウンの結末(ビジネス社)
宮崎 正弘 
2023年5月17日
1,650円
248ページ
ISBN:978-4828425313
米国・シリコンバレー銀行の経営破綻から始まり、米国の銀行、数行から1日に400億ドルが預金口座から蒸発した。
IT系のベンチャー企業に無理な融資を行い、焦げ付きが生じたと言われている。
さらにクレディスイス銀行、ドイツ銀行などEUの金融大国にも危機が飛び火。中国の資産家や企業も打撃を受ける事態に!
世界経済のバブルが弾ける。そのとき日本経済は生き延びられるか?ドル基軸体制は、いつまで持つのか?
国際資本の伏魔殿の最新情報!

GAFAM黄金時代の終わり/中国経済の大陥没/ウクライナの怪しいマネーが招く大混乱
次の世界恐慌が目前に迫る。


[本書の内容]
ジャック・マーに帰国をうながした中国政府/米国主導だったグレートゲームは終了する?
米国の分裂状態は悪化する/政権中枢に経済通がいない
金融も共産党直轄になるなんて!/海外マネーの逃避が続出している
米国の対中制裁「ブラックリスト」は651社/中国のZ世代は何を考えているのか
それでも中国への油断は禁物/「ドル基軸体制の終焉」が警告され始めた
●もくじ
プロローグ リーマンショックの惨状を超える未来の国際金融の疑獄図
第1章  SVB、シグニチャー銀、クレディスイスの破綻は「金融恐慌」前夜
第2章  米国は中国に勝てるのか?――GAFAMの黄金時代は終わった
第3章  ウクライナの伏魔殿が導く大混乱
第4章  中国経済の大陥没が起きる
第5章  グローバル・パワーとして振る舞いだした中国
エピローグ 大きく揺らぐドル基軸体制
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