人は何かの行動によって、
その都度自分の中に新しい自分ができている
自分の中に生まれた新しい自分というものは決して古い自分から消えてなくなるものではない。上書きされるものでもない。一度取り込んだ、誰かによって生まれた「新色」の自分はずっと自分の中にある。だから、今ここで出会った誰かによって取り込んだ「赤色」と10年前、20年前に誰かによって、もしくは何かを読んだり、体験したりすることによって生まれた「旧色」とが反応して、「新結合」する場合もある。
ずっと忘れていた感情が、ある人と話をすることによって蘇ることとかあるだろう。ずっと聴かなかった思い出の曲をたまたま町で聞くことによって、当時の自分の状況を思い起こすこともあるだろう。
そうやって、人は何かの行動によって、その都度自分の中に新しい自分ができているはずなのだ。それが自分の中の多様性であり、決して自分はひとつの自分ではないということを理解することが大切だ。
一期一会の人のつながりでも、たった一度の経験でも、それを通じて自分の中に新しい自分が生まれたのだと思えれば、出会った人、経験したことのすべてに感謝の気持ちが湧いてくるだろう。
誰に対しても主張も態度も何も変わらない人間なんて独裁者
多様性の時代だのと口ではいいながら、その人自身がまったく多様性を認めないという矛盾した人物をよく見かける。それは、そもそも自分の中の多様性をまず認められていないからだと思う。
人生とは、長い年月に及ぶ経験や人とのつながりを経て、自分の中に新しい自分を生成していく旅なのだ。その自分の中にたくさんいる自分というものの存在を理解していればしているほど、自分というものはわからないということになるわけだが、それでいいのである。わかったつもりになって、勘違いして噓の自分を生きるよりよっぽどマシである。
大体、人間なんて、環境が違えばその環境に応じた人間にならざるを得ないし、相対する人間によって態度を変える必要だってある。カメレオンでいいのである。誰に対しても主張も態度も何も変わらない人間なんて独裁者である。
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