過度のゲーム依存でネグレクト(育児放棄)に…

最近は、こうしたことが当事者だけの問題で収まらなくなっているらしい。大人がゲーム依存になった影響が、その子供にも及びつつあるという。

発達障害の人の中には、結婚して子供を作っている人も少なからずいる。彼らは自分たちに足りないところを補い合いながら幸せに生きていこうとしている。だが、そんな二人が子供をつくった後に、育児のストレスなどでゲーム依存になることがあるらしい。

今回取材した医師によれば、20代後半の夫婦が、子供をもうけた後に、そろってゲーム依存になったということが起きた。二人はゲームに夢中になるあまり、おむつ交換、食事、着替えなどをほとんどしなくなった。いわゆる、ネグレクト(育児放棄)状態に陥ったのである。数か月後に夫婦の親が家に足を踏み入れた時、家の中はゴミ屋敷のようになり、子供はガリガリに痩せて栄養失調になっていたそうだ。

これを発見した親は、夫婦にこう言った。
「なぜ子供の面倒をしっかり見なかったの? 死んでしまうじゃないか」

だが、夫婦は二人ともキョトンとしてこう答えた。
「子供と一緒に家にいたので、死ぬなんて思ってもいなかった」

彼らは自分たちがゲームにのめり込むあまり、子供の命を死の危険にさらしていたことにすら気づいていなかったのである。この事例は極端かもしれないが、発達障害の人たちは、そうでない人より社会の中で様々な生きづらさを感じるものだ。そこにゲーム依存という要素が加わることで、より日常生活が困難なものになるのは明らかだ。

その時、家庭を持っていれば、そのしわ寄せは最も弱い立場の子供に及ぶ。

私はゲームがすべて悪いとは思わない。使い方さえ間違わなければ、適切なストレス解消のツールとなるだろう。だが、社会的に弱い立場の人たちが、自覚もないままにのめり込み、より生きづらさを抱えることになっているのだとしたら、それはそれとして別に考えるべき問題であることは確かだ。

取材・文/石井光太

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