宇宙人の役作り……何もしていません(笑)
──『宇宙人のあいつ』は、地球に来た土星人が、高知県で焼肉屋を営む真田家の次男・日出男になりすます……という奇想天外なコメディ映画です。日出男を演じるにあたって心がけたこと、役作りについて教えてください。
日出男は人間の生態を調べる目的で真田家にやって来ているので、キャラを前面に押し出すというより、真田家全体を俯瞰で見ることを意識しました。あとは真田家の兄弟(日村勇紀・伊藤沙莉・柄本時生)との会話のグルーヴ感。
とにかく賑やかな兄弟なのでノリを大切にしました。まあ、役作りといっても宇宙人なので(笑)。特別なことは何もしなかったです。
──飯塚健監督からのアドバイスはありましたか?
飯塚さんはご自身で脚本も書かれているので、俳優たちがどんな芝居を繰り出してくるのか楽しみにしているし、自分のイメージを「超えてきてくれよ!」という期待もあると思います。だから監督から芝居について細かく指示されることはなかったですね。
──中村さんから見た日出男の魅力はどこでしょう?
人間の生態を見て、いろいろなことを吸収しようとしている子どもみたいなところがあります。子どもの頃、大人の会話を耳にして「何の話をしているのかな」と、好奇心を持って見たり聞いたりしていたじゃないですか。
日出男ってそういうところがあるんですよ。子どもが「なになに?」って興味津々で近づいていく感じ。そんな可愛らしさが彼の魅力だし、僕の好きなところです。
──この役は、飯塚監督が中村さんを想定してあて書きをしたそうですね?
役者冥利に尽きますね。本当にうれしいし、自分のイメージで書かれたキャラクターなので合わせにいく必要がなく、楽をさせてもらいました(笑)。だからこそ、あまり余計なことをやらない方がいいと思ったんです。
──それにしても宇宙人の日出男はつかみどころのないキャラクター。あて書きということは、中村さんにもそういう部分があるのでしょうか?
「何考えているのはわからない」と見られているのかな(笑)。僕はいつも正直なんですけどね。
でも思い返してみると、10代の頃から「若手らしくない若手」と認識されていたみたいです。「やる気も見えないし、悩んでいるところを見たことがない」という印象を周りの方たちは持っていたようで。当時はそれについて悩むこともありました。
でも、今では受け入れていますし、逆にそれをうまく使って芝居に生かすのもプロの役者だと思っています。