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就活がつらい原因は、
1990年代に加速した「就活の自己責任化」

――今まさに就活中の学生も多いと思いますが、就活生が「就活ってつらい」と感じるようになった原因は何なのでしょうか。

就活がつらいと感じる学生がいる背景には、「就活の自己責任化」があると考えています。就活の結果に対して学生自身が責任を負うようになったため、うまくいかない学生はつらいと感じるようになるわけです。

ではなぜ自己責任化したのか。それは、1990年代に定着した自由応募方式が要因です。就活の歴史を紐解くと、バブル期以前までは、大学からの職業紹介や縁故で就職先を決めるのが一般的でした。しかしその後、企業側で「学歴に捉われず優秀な人材を採用したい」という機運が高まり、誰でも好きな企業にエントリーできる自由応募方式が一般化しました。

この方式は就活生の選択の幅を広げた一方、大きな格差を作り出します。いろいろな企業への応募が可能になったため、優秀な就活生がいくつもの内定を独占し、それ以外の就活生がなかなか内定にありつけないといった状況を生み出したのです。

“就活 つらい”の原因は1990年代に定着した自由応募方式のせい!?  自己責任の就活がもたらす選択の自由と内定格差_1
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また、自由応募方式の導入により、一部の人気企業にエントリーが殺到し、採用業務を圧迫するようになります。そのため人気企業は「学歴フィルター」などを設け、就活生を厳しく選別しはじめました。こうしたなかで、就活生間の競争はより激しくなり「内定は個人の努力で勝ち取るもの」という風潮が生まれ、就活の自己責任化に繋がったのです。

――「学歴に捉われない採用」を目指したのにもかかわらず、学歴フィルターを設けるのは矛盾していませんか?

企業側にも「本音と建前」があるわけです。表向きは多様な人材を採用したいと掲げていても、実情としてはできるだけ多くの高学歴者を採用したい。東大卒を何名採用したかが企業の箔に繋がることもあったりする。

もし本当に多様な人材を採用したいのであれば、企業側は採用人事にさらに多くの手間をかけなければいけません。しかし、日本の企業は海外に比べても人事を重視しない傾向が強いですし、そもそも多様な人材を求めているようにも思えません。