トガったまま突っ走る真空ジェシカ。ラジオは「全部楽しいっすね」、テレビは……「ちゃんと話せばわかってもらえるはず」(前編)_7

ぷよぷよでわかる「マヂカルラブリーは漫才」

――川北さんは、ゲームの「ぷよぷよ」は漫才だとよくおっしゃってますね。

川北 ぷよぷよでは、(技である)「連鎖」させるための土台になる「ぷよ」の組み方ってある程度決まってるんですよ。土台がしっかりしていればその上は何をしてもいい。この土台って漫才でいうと設定の部分。ネタの導入で設定をちゃんと理解させられていれば、その上で何をしても伝わる。土台をおろそかにすると漫才じゃなくなるんですね。例えば、マヂラブさんも土台はちゃんと組んだ上で、「ぷよ」をぐるぐる回転させている状態だからやっぱり漫才なんですよ。

ガク 長いな。

川北 ぷよぷよは連鎖を使った戦い方が人によって違います。何回も連鎖させると強い攻撃にはなるけど、長い連鎖を打てばいいってもんでもないんです。長い連鎖は強いけど、2連鎖ダブルとかの短くて効率のいいぷよの消し方に邪魔されるリスクがあって、そういうふうに弱い攻撃を素早く繰り返す戦い方もある。ぷよぷよをやってると、どの戦い方が得意なのかわかってくるんですよ。

ガク 楽しくないな、なんか。

川北 僕は長い連鎖を組んで消すタイプじゃなくて、途中で2連鎖ダブルとかで邪魔する戦い方。だから僕らの漫才もでっかい筋があるんじゃなくて、中ボケをいっぱい繰り返していくタイプ。

ガク 理論がしっかりしてる分、聞いてて全然楽しくない。

川北 ぷよぷよの配信を一緒にやってる(コンビ芸人の)ストレッチーズとかは、漫才の1本の構成がしっかりしてる。実際、そういうぷよぷよをやるんですよ。霜降り明星の粗品さんとかも、ぷよぷよをやったら2連鎖ダブルとかをちょいちょいやってくる感じだと思う。ぷよぷよをやることで自分はこういう漫才をやったらいいんだっていうのがわかるんです。

――ぷよぷよでの攻撃スタイルが、自分に向いている漫才のスタイルだと。ご説明いただいたようにボケのスタイルは分かれますが、導入となる土台の作り方は共通なんですか?

ガク いいお客さんだな、おい。

川北 そこもいろいろあるんですが、一番多いのがGTRっていうぷよの置き方で、まあ一種の定石ですね。初心者もGTRから覚えるけど第一線のプレイヤーも基本はGTRの形を組むというメジャースタイルです。これは漫才でいうところのコントイン。「俺は〇〇やるからお前は〇〇やって」という土台ですね。

ガク しっくりくるようでよくわかんないよ。

川北 やってみてもらったらわかりますよ。逆もまたしかりなので。

――ぷよぷよのプレイヤーからも漫才のスタイルがわかる?

川北 そうですね、(プロゲーマーの)Tomさんとか実況も熱が入ってて面白いんですが、割と不定型の連鎖の組み方をされる方なので漫才でいうとおそらくしゃべくりですね。

ガク 囲碁将棋さんみたいな?

川北 確かに。囲碁将棋さんって普段の話し方とネタ中があんまり変わらないから近いかもしれない。

ガク ぷよぷよと漫才どっちも詳しくないと何もわからない話だな。

川北 あとプレーヤーのliveさん。結構難しい連鎖尾を組んだり、メインの連鎖を消してステージがまっさらになったあとにまた連鎖を組む「セカンド」の効率がすごかったりするんです。

ガク クライマックスに盛り上げる感じ?

川北 いいときのオズワルドですね。結構難しいことをやって盛り上げてる。M-1のオズワルドの2本目がうまく行ってればliveさんになれたはず。

ガク オズワルドはliveさんを目指さなきゃいけないのか。

川北 たぶんオズワルドにぷよぷよをやらせたらliveさんみたいなスタイルだと思います。

――やってみてほしいですね!

川北 頭硬いんでやってくれるかどうか……畠中はやってくれそう。

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取材・文/宿無の翁
撮影/柳岡創平
編集/一ノ瀬 伸