「ロケーションを克服できるすごい仕掛け」

大前 でも、あんまり慢心してはいけない。愛をいつまで持ち続けられるかどうかが、この事業の成長や継続性に関わってくる。当初は売り上げの3~5%などとインセンティブを規定していたとしても、店舗スタッフがかなり稼ぐようになっていくと、だんだん削り始める会社が出てくる。それは良くない。なまけていたらそういうオーナーや店長が生まれてしまいます。VTuber・バーチャルライバー集団「にじさんじ」を打ち出すエニーカラーなどを見ても分かるけど、とことん人気が出て稼ぐやつは稼いでいい。

アパレルの人々はロケーション(立地)がすべてだと思ってきた時間が長く、高コストだけど好ロケーションの店舗の売り上げが良いのが当たり前だった。けれど、バニッシュの登場で広島とか山形とか、東京よりも圧倒的に客数が少ない店舗に所属するスタッフだ ったとしても、努力や仕掛け、才能次第で日本一の売り上げを獲得することができるようになる。

これはアパレルや商業施設、不動産の理屈、つまりロケーション・イズ・エブリシング(立地がすべて)の考え方を根本から覆すもの。これはうれしいことだと思う。地方の店舗では客数が少ないぶん、時間があるからこそ積極的に取り組めるという面もある。お客さまは全国にいるというわけです。

小野里 そうなんです。実際に、札幌や金沢など地方からの売り上げ上位者も登場しています。人気のスタッフのオンライン接客を受けてみたいとか、「会いに来ました」というケースも出てきています。

大前 かつては渋谷109とそのスタッフが憧れの的になっていたよね。カリスマ店員。ASEANやインドネシアなど、東南アジアでは今でも日本に行くなら109に行きたいという人も多くいます。これと同じことが、今度は全国で起きるということ。ロケーションを超えて、少しさみしいと思われる場所でも工夫した人が勝てる。自分の努力によってとんでもないお金持ちが生まれる。

「地方創生!」「東京に反旗を!」とまで大きな話ではないかもしれないけれど、気持ちがいい。怒りから生まれたビジネスを、愛を持ってやることで、ヒーロー、ヒロインが生まれる。日本でも世界でも革命を起こせると思います。