「年収1000万円の店舗スタッフを誕生させたい」

小野里 OMO(オンラインとオフラインの融合)の単なる手段ではなく、もっと本質にリアル店舗の価値を高めて、店舗スタッフの活躍の場を広げて、それによって売り上げを伸ばし、企業をサポートする。そして、年収1000万円の店舗スタッフを誕生させたい、というのが僕の思いなんです。それにしても、大前さんから「にじさんじ」の名前を聞くとは思いませんでした。

ギャル男時代の小野里さん(写真左)
ギャル男時代の小野里さん(写真左)
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大前 僕は面白い会社を見つけたら、すぐ調べるし、とことん追跡する。日本では、テレビショッピングやジャパネットたかたとか、通販生活など、昔売れた俳優さん、女優さんが登場して、その活躍を知っている世代の高齢者が購入するというビジネスモデルがすごく調子がいい。中でも通販生活はユニークだ。通常のカタログ販売は、カタログ到着後、

注文の電話は48時間に集中する。けれども、通販生活は面白い読み物があり、トイレに置かれたり長く手元に置かれるから、1か月間注文が入る。まれにみる物語性があり、売れていた女優、俳優が出てくる。売られているものは僕からしたら物足りないけれど、仕掛けは面白いよね。

もう一つ、僕らの勉強会「向研会」の仲間でもあるけれど、50代以上の女性をターゲットにした「ハルメク」も素晴らしい。お客さまの悩みをディスカッションし、それを商品開発につなげていく。一番の関心事は尿漏れだという。通販生活なら書けないけど、自分たちでリアルに話し合い、解決策を探り、商品開発を始める。すると、アパレルや薬・サプリメントなどのメーカーが提案をしてきたりする。これだけ雑誌が売れないといわれる時代に逆行し、発行部数が60万部に達して広告も殺到しています。

後編はこちらから

『リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ「店舗スタッフ」にECを任せよ~』(日経BP)
小野里 寧晃
元ギャル男社長が渋谷のストリートで学んだ日本一のビジネスモデル。“年収1000万円の店舗スタッフ”を誕生させるためにブラック職場のアパレル・小売り業界に起こした革命_4
2023年3月25日
1787円(税込)
 ‎288ページ
ISBN:978-4296201198
「このままいけば、リアル店舗は『死ぬ』」――。

EC(ネット通販)の台頭、人手不足、地方の過疎化など、社会環境が大きく変わる中で、百貨店や商業施設、ブランドの路面店など、リアル店舗の統廃合が急ピッチで進んでいる。
そんな現状を変えようと奮闘しているのが、店舗スタッフによるコーディネート投稿など、「オンライン接客」を可能にするサービス「スタッフスタート」を展開するバニッシュ・スタンダードだ。サービス提供開始から僅か6年で年間経済効果は1500億円を突破、導入ブランドは2100以上と、快進撃を続けている。
本書では、同社を率いる小野里寧晃(おのざと やすあき)CEO/代表取締役が初めて明かす、「リアル店舗復活のための処方箋」が余すことなく語られている。

すべてのカギを握るのは、アパレルやコスメ、百貨店、家電量販店、家具・インテリアなど、あらゆる業界のリアル店舗で働く「店舗スタッフ」だ。店舗で培った接客ノウハウをオンラインでも発揮することでファンを獲得し、EC売り上げを最大化。その貢献を適正に評価してスタッフ個人や店舗にインセンティブを還元していくことが、リアル店舗を守ることにつながると説く。

その効果は絶大で、スタッフスタートを活用した投稿経由のEC売り上げの最高記録は、店頭の約100倍に当たる月間1億3000万円に到達。ECで月1000万円以上売り上げる店舗スタッフも200人以上と、リアル店舗とECを股にかけて活躍するOMO(オンラインとオフラインの融合)時代の「令和のカリスマ店員」が、全国で続々と誕生している。

従来、企業が推進してきた「オムニチャネル」は、なぜ失敗ばかりだったのか。店舗スタッフ起点のOMOに取り組む先進企業は何が違うのか。令和のカリスマ店員はなぜ売れるのか――。本書では、豊富な事例を基に数々の疑問を分かりやすく解き明かし、リアル店舗の明るい未来を描く。

「店舗スタッフこそ、最強のビジネスモデルである」

企業の経営層、EC担当者、店舗のエリアマネジャーのみならず、すべてのビジネスパーソンは、今すぐ認識を改めるべきときに来ている。また、「当事者」であり、リアル店舗の「救世主」である店舗スタッフの「あなた」にとっても必読の一冊となる。リアル店舗はもう1店も潰さなくていい!

大前研一氏 推薦!
「『あなた(店舗スタッフ)の努力で人生を変えていける』。これが、バニッシュ・スタンダードの事業の他との一番の違いだし、この観点から事業を組み立てた人は今まで日本にはいない。『怒りと愛』を原点にした、『日本一のビジネスモデル』だ!」
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