環境と気候の変化で心のバランスを崩す五月病
——そもそも「五月病」は心の病気といえるのでしょうか。
環境がガラッと変わる4月は、新入社員・社会人経験が長い方を問わず、そわそわと落ち着きにくいものです。その疲れがゴールデンウィーク中にどっと押し寄せるのが、いわゆる「五月病」ですね。
五月病という病名があるわけではありませんが、5月頃に調子を崩す方は多く、一種の「適応障害」に近い状態であると考えられます。適応障害とは、環境から受けるストレスにうまく適応できず、精神的に落ち込むなどの問題が生じる病気のこと。5月は私たちのクリニックにも多くの患者様がいらっしゃいます。
——五月病の原因を教えてください。
大きな原因は、新しい部署への配属や新入社員の入社などの「環境の変化」です。また気候の変化も不調の原因になり得ます。
「夏季うつ」という病気がありますが、これは5月から9月頃の暑さによる、自律神経の乱れが原因といわれています。エアコンの効いた室内と屋外の気温差に体が適応していない場合、かかることが多いですね。5月頃は環境の変化だけでなく、気候的にも不調をきたしやすい時期なのです。
——適応障害と五月病の症状は似ているのですか?
適応障害も五月病も、以下の症状が出やすいですね。
・やる気が起きない
・理由もなくイライラする
・仕事や学校に行きたくないと感じる
・集中力や食欲の低下
・不眠
五月病は適応障害とは異なり、短期的な不調であることがほとんどです。よって、気分転換や環境に慣れることで症状を緩和できます。