子ども・子育て予算倍増で国民に信を問う?
G7広島サミットは5月19日から21日に行われる。
その後の解散のタイミングとして考えられるのは、6月21日の通常国会会期末だ。
会期末には野党が政権にノーを突き付ける内閣不信任決議案が提出されるか否かが注目されるが、この決議案は内閣に退陣を迫るものであるため、解散の大義になると解釈をされてきた。
ただ、もし野党から決議案が提出されなかったとしても、岸田政権はもう1つ、解散の布石を既に打っている。
それは6月に発表される「子ども・子育て予算倍増」に向けた大枠の考え方である。
岸田首相は今年6月に示される経済財政運営の指針「骨太の方針」に合わせて財源も含めて倍増の全体像を発表するとしている。
既に岸田政権は防衛費を関連予算と合わせて2027年度までに倍増することを決めており、その際に法人税などの増税カードを切っている中、どのように子ども政策の予算を倍増するのかが注目されているが、ここで発表した内容を「国民に信を問う」と大義にして解散をすることも考えられるだろう。
早期解散を巡っては、自民党の茂木敏充幹事長が3月28日に「解散は総理の専権事項だ。いつそういう判断があってもいいように準備を進める、それが幹事長の役割だと思っている」と報道陣に述べ、29日には立憲民主党の安住淳国対委員長が党会合で「いきなり解散は、やったらよほどの党利党略だ」とけん制。既に言葉の応酬が始まっている。
同日の国会審議で岸田首相は「今、衆院の解散は考えていない」と述べたが、過去には佐藤栄作首相が解散について「頭の片隅にもない」と答えながら解散し、後に嘘をとがめられると「頭の真ん中にあった」と答えたというエピソードもある。
とある国会議員の秘書は「今のような解散風の状況になったら、いつ解散されてもいいように衆院選に向けて準備をしないといけない。統一地方選もあるのに大変だ」と漏らした。
解散風が吹き荒れる中で舞う怪文書。予算審議が終わって統一地方選や法案審議に腰を据えて取り組みたいところだが、年度が変わっても政治は騒々しい状態が続きそうだ。
取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班