武藤敬司が考える人間の価値とは…

生まれてから何の不自由もなく育ち、二世タレントとして注目されていた当時。友達からの言葉に霧愛は、反発もなく素直に受け止めたという。強烈な言葉を浴びた一方で別の友人から勇気をもらうメッセージもあった。

「お前は1時間のバイトで1000円を稼ぐ。俺は1時間の試合でもっともっと稼ぐ。それが人間の価値なんだ」父の引退試合で二世であることを公表した武藤敬司の娘・霧愛の覚悟_4
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「その子から『愛ちゃんを見ていると、まるで希望を見ているみたいだね』って言われたんです。それは、私にとって、とても嬉しい言葉でした。その言葉がなかったら、『価値がない』自分にどん底まで落ちたと思います。
その時に思ったんです。人はどんなにマイナスなことを言われても信じてくれる人がいれば、前へ進めるんだって。だから、私はそんな希望をたくさんの人に歌で届けたいんです。それが私の価値だと思いますし、自分の価値を自分で考えて行動して作っていきたい。それが今、自分の目標です。
今は、恋愛とか就職とかよりも、この世界に私がどういう意味をもたらすかということしか考えていません」

父とは自宅で話題は多岐に渡り会話するという。シンガーソングライターとして活動を始めてから「やめよう」と思ったこともあった。そんな時、父から「逃げるのか」と迫られた。

「お父さんには、『お前は、ハングリー精神がない』って言われます。だけど、間違ったことは言わないんです。例えば、『お前は1時間のバイトで1000円を稼ぐ。俺は1時間の試合でもっともっと数倍稼ぐ。それが人間の価値なんだ』って言われました。
その瞬間は正直、ムカッとしましたけど、それは、本当にやってのけた人の言葉で、金銭というのは明確な指標で、そこに明らかな目指していく答えがあると思うんです。そんなお父さんが教えたくれたことを私がつなげて発信していきたいとも考えています」