「練習は歯磨きするのと一緒」
武藤敬司の娘として生まれ、日々、父が世界的なトップレスラーとしての地位を築くためにどれほどのトレーニングを重ね、食事などの日常生活でストイックでいることを目の当たりにしてきた。そんな姿は、同じエンターテインメントの世界を生きる霧愛にとって最大の教えとなっている。
「多くの人は『頑張る』という言葉は好きだと思います。だけど、私は、頑張ったことを表に出す人は、一番上までいけないと考えています。なぜかというと、お父さんは『練習は歯磨きするのと一緒』って言うんです。
お父さんの中では、頑張ろうという意識はなくて、練習は体の一部でまるで歯磨きや水を飲むような当たり前の感じなんです。ですから、頑張るとか努力とかを言っているうちは、上にいけないと思います。考え方はすごく単純です。だから、私も曲を作る上でお父さんのようにもっと単純に考えて、わかりやすい言葉で詩をつむいで、すべての日常生活が曲に直結するようになりたいと思ってます」
シンガーソングライターとしての目指す場所をこう打ち明けた。
「なんで歌を歌い続けるかというと自分の中の旅なんです。歌う先に何があるのかを知りたい。そこに辿り着くまで自分で確信をもって歩いて行きたい」
取材・文/中井浩一