育休は社会の共通のテーマとして捉える
育休取得を決めたら、とにかくその期間は家族との時間を楽しんでほしいと高橋さんはいう。
「少子化の現代、子どもが誕生すること自体とても尊いことですし、育休取得は本当に貴重な経験となるでしょう。なので、ポジティブに捉えてほしいですね。急に子どもの体調が悪くなったり、家事が思うようにできなかったりしますが、それもまた家族と向き合う時間として受け止めてほしいです。」(高橋さん)
また、育休は取得する当事者以外の周りの人、企業の捉え方も変えていく必要性を高橋さんは語る。
人手が減る、他の従業員へ業務負担が増えるなど、まだまだマイナスに捉えられていることも少なくない。
「弊社では、企業向けに男性の育休を学ぶワークショップを提供しています。
300人ぐらいの規模の工場があって、年間1~3人育休を取得している企業ですが、はじめはシフトが減るから、と育休に消極的な人もいたのが、組織として育休を考える機会 を持つことで、仕事も家族を大事することを尊重しあうようになり、結果的に生産性が上がったという例があります。
なので、育休取得しないから関係ないと線引きして関心を持たないのではなく、一緒に働く人との共通のテーマであることを認識してほしいと思います。
育休の問題は社会共通の問題だと意識するために、育休を学ぶ機会や時間を作っていくべきではないかと考えています」(高橋さん)
政府は、「異次元の少子化対策」に本腰を入れようとしている。
今後、ますます男性の育休取得について注目されるが、当事者だけでなく社会全体のテーマとして取り組むことが必要になってくるだろう。
取材・文/百田なつき