二人を引きずりおろせない日本の芸能界…

そんなキムタクと福山の新ドラマだが、もう少し大局的な見地から考えると、もっと大きな問題点があることに気付かされないだろうか。

キムタクや福山が連ドラ主演を務めるようになったのは90年代中盤。

そしてキムタクが雑誌「an・an」の「好きな男」総合ランキング(「抱かれたい男」などの総合)で初めて1位を獲得したのは1994年で、それから2008年までV15を達成している。福山も同ランキングで1999年から2位が定位置となり、2008年までキープし続けていた。

要するに、彼らは四半世紀前にはもうすでにイケメントップ俳優の座に君臨しており、今になってようやくその地位が揺らいでいるというだけなのだ。

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キムタクと福山がそれほどまでに偉大な存在なのだとも言えるが、視点を変えると彼らを引きずり下ろすほどのカリスマ性を持った下の世代の俳優がここ20年、日本の芸能界に現れなかったということも意味している。

たとえば、佐藤健や菅田将暉あたりなら、彼らに代わって時代を牽引していく大スターになれるかもしれないが、今のところ二人とも社会現象となるようなメガヒット作を送り出してはおらず、現在はもう30代。

佐藤も菅田も高い演技力を誇る素晴らしい役者であることは誰もが認めるところ。しかし、当時のキムタクや福山が放っていたオーラはもっとすさまじく、スターとしての“華”が段違いだったように記憶している。

平成という時代を牽引してきたキムタクと福山は、どれだけリスペクトをしても、どれだけ賛辞を贈っても足りないレベルの大スターであることは間違いない。だが偉大すぎるゆえに、全盛期の彼らレベルで時代を象徴するような新世代のカリスマがなかなか現れないのが現実なのである。

これこそが日本の芸能界が抱える、大きく根深い問題なのではないだろうか。

文/堺屋大地