左の好投手をどう攻略するか?
2回までの彼は、決め球のタテに落ちる独特なスライダーを徹底して打者の外角低めに集めていた。ストレートを見せ球にして、同じ軌道からストンと落ちる精度の高いスライダーで、わずか2イニングとはいえ侍打線を手玉にとった。
準々決勝以後、あのようなタイプの左投手が出てきたときに、果たして上位から左打者をずらりと並べた侍打線がどう対処するのか、気がかりだ。
ポイントは、低めに集めてくる落ちる球種を、キッチリ見極められるかどうか、捨てられるかどうかだ。追い込まれるまで完全に捨ててかかれば、相手投手も同じ球種ばかり投げるわけにもいかなくなる。そこがつけいるタイミングだ。カギを握るのは、やはり右打者だろう。
金廣鉉は右打者の岡本、牧ら右打者に対しては、スライダーではなくチェンジアップを決め球にしていた。右打者へのスライダーは、ちょっとでも甘く入ると絶好球になってしまう。そこで緩急を利用したチェンジアップを使う。この左投手の“定石”は、いまだ洋の東西を問わないパターンのようだ。
ともあれ、左の好投手が相手としてマウンドに立ったときが、日本打線の真価が問われるときかもしれない。1次ラウンドでは好調だった左打者(打率360)がチームを牽引したが、岡本、牧、山田ら右打者の頑張りもまたカギになるだろう。
構成/木村公一 写真/AFLO