「職質からの違法薬物検挙」は点数が高い
――検挙数によって給料が変わる、という仕組みがあることを全く知りませんでした。
警ら隊では、その月の検挙数に応じた査定があり、多く検挙をすれば給料は上がりますし、ボーナスにも大きく影響します。
あとは検挙した犯罪の種類によって、もらえる点数が変わります。それを実績制度と呼ぶんですが、各犯罪を検挙した際の点数をまとめた評価表も、ネットで検索すれば出てきますよ。
それを見ればわかりますが、ひったくり犯や強盗犯を捕まえるのと同じ扱いになるくらい、「職質からの違法薬物検挙」の点数は高いんですよね。
だから最近の警察官は躍起になって若い子に職質して、「大麻を持っていないか?」と、時にはパンツのにおいまで嗅いで調べるわけです。そういう職質にあった子が、僕に助けやアドバイスを求めてDMしてくる感じです。
――大麻関連の検挙数が年々増加している、というニュースを目にすることもありますが、よっしー部長の見解はいかがですか?
警察官だった頃は「大麻が規制されるべき薬物かどうか」という問題について、何も考えていませんでしたし、点数の高いツールの一つとしか捉えていませんでした。
他の薬物、たとえば覚醒剤だと、挙動がおかしい使用者たちの姿を実際に見てきたので、「体に悪いものだ」ということを感覚的にも理解していて。一方で、大麻の使用者の挙動は普通ですし、他人に危険が及ぶ可能性があるような現場も見たことがなかったですね。
ですから諸外国の状況と比べた時に、今の日本の大麻所持検挙のためだけの職質は過激過ぎるとは思います。ただ使い方によっては、もちろん大麻にも危険な一面がありますので、ある程度は仕方がないかなと。
取材・文/佐藤麻水
撮影/浅井裕也