BBQ用ナイフを銃刀法違反で検挙
――警察官時代はずっと警ら隊所属だったのですか?
初めは交番勤務で、(「こち亀」の)両津勘吉みたいにのんびりと仕事をしたいタイプでした(笑)。
でも、結果を求めることが好きな性格なので、職質がかなり得意で、若い頃から県警内で検挙数トップになることが多くて。それが評価されて、警ら隊に引っ張られた感じです。
――どういう倫理観で検挙していましたか?
交番勤務の頃は、自転車泥棒をメインに検挙していましたが、窃盗罪には被害者がいるので、検挙することに社会的な意義があると感じていました。
ただ、次に配属された警ら隊は「犯罪を検挙してナンボ」の世界。そうなると「とにかく検挙したい」とか、「この人をなんとかして犯罪者にできないか」という思考に変わっていくこともありました。
たとえば、BBQや釣りのために使用して、車に積みっぱなしにしていたナイフを、銃刀法違反で検挙するとか。
そういう検挙には社会的な意義は全くないと、当時から感じていました。世の中の役に立ちたいという思いでもなく、ただ自分が組織に評価されたいという気持ちだけ。検挙数が多ければ給料も上がりますし、昇進試験のポイントにもなるので。
要するに、本来は犯罪検挙をするための職質が、「自分の欲望を満たすためのツール」になってしまうんです。そうではない警察官もいますが、警ら隊にいるほとんどの人間は、かつての僕と同じ思考回路だと思います。