未だに後悔する事件

「職質祭りと言われる強化月間がある」「警ら隊は犯罪を検挙してナンボ」元警察官YouTuberが語る、数字だけを追い求める警察組織の実態とは_2
仲間内で“職質祭り”と呼んでいた職質強化月間には、犯罪検挙数のノルマを課せられていたという

――そのようなポイント稼ぎのための検挙を象徴するエピソードはありますか?

「これは良くなかったな」という検挙については、未だに覚えています。

走り屋と思しき男性の車を停めたら、車内に鉄の棒があって。本人曰く、フロントのボンネットを支える棒が折れているから、その代わりに持っていると。

実際にボンネットの裏に傷が付いていたので、彼の主張は嘘ではないな、と僕は感じていて。

ただ、運転席の足元に棒が置いてあったことを、パトカーに同乗していた警察官の上司が「これは武器だ」と主張して。僕は異を唱えましたが、「いや、事件として処理する」と上司は譲らず。

部下なので従うしかなく、事件として処理することになって。調書を取る時、本人は認めていなかったんですが、なんとかそれもねじ伏せて。最終的には本人も「もういいです。好きにしてください」という感じで、罪を認めました。

凶器携帯は軽犯罪法違反なので、軽い罰金程度ですが、犯罪歴が残りますし、本人からすれば決していい出来事ではないですよね。

結局、その検挙によって、一人の人を犯罪者にしてしまったわけです。僕としては、上司に強く進言できなかった悔いが今でも残っています。